第14話 Bleu Turquoise
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by. 氷室 蒼
このところ、碧が何かを考えている気はしていた。
でも、普段通りに笑みを見せる碧にそのことは俺の頭の中からすっかり忘れ
去られていた。
まさか、碧がここを出て行こうと考えていたとは・・・。
碧の言葉は俺にとって、青天の霹靂だった。
あまりのことに俺の口から出た言葉は「誕生日まで待って」というその場凌ぎ
とも取れないような言葉で・・・。
自分の不甲斐なさを身をもって実感した。
俺は、また作業部屋に戻ると、ここ数か月いつも持ち歩いていたスケッチブック
を開いた。
その中は、碧の画で埋められていた。
転寝している碧、洗濯ものを干す碧、穏やかな笑みを向ける碧
一筋の涙を流す碧・・・。
どれもこれも俺と碧、二人の暮らしの中で今まで俺が目にしてきた碧の姿だった。
そして、スケッチブックに碧の姿が増える毎に、碧は俺の中で離し難い愛おしい
存在へと変わっていた。
「よし・・・。」
俺は一つの決意と揺るがない想いを胸に、布に覆われた画の前に立った。
俺の手には、一人の愛おしい女を想い作った『青』
それを目の前のキャンバス一面に勢いよく筆を滑らせ塗りつぶしていった。
ひとつの別離と、希望する未来を願って・・・
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