第12話 Bleu Bleuet

 __________Bleu Bleuetブルー・ブルーエ



               by. 氷室 蒼




あの日、碧に自分の過去を全て話してから、それまで心の中に溜まっていた

『澱』のようなものがスッと浄化されたような気がしていた。



俺の過去の話を聞いて、碧が流してくれた涙は泣けない俺の代わりに流して

くれたようにも感じ、同時に俺の心を救ってくれた。



あの日から、数日経つが碧は今までと変わらず穏やかな笑みを俺に向けて

くれている。


こんなに、穏やかな心でいられるのは、一重に碧のお陰と言っても過言で

はない。



今日も作業部屋での仕事を終え、部屋からでるが、いつもより静かな事に

気づいた。


ふと、リビングを覗くと碧がソファーで転寝をしている。


俺は、碧を起こさないように静かに作業部屋に戻ると、一冊のスケッチブック

と鉛筆を手に取り、リビングに向かった。


俺は静かにソファーの向かい側に腰を下ろすと、碧の寝顔をスケッチブックに

描き始めた。




リビングには、俺の鉛筆を滑らすシャ、シャっという音と碧のスースーという

可愛い寝息が聞こえるだけだった。




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