第1話 土砂降り

「…う、うん…?」


目が覚めると、目の前は山々と土砂降りの景色が広がっていた。


「いやいやいや、なんでコンビニに行こうと思ってたのにこんなところにいるんだ…?

そもそも、ここはどこなの?近所にこんな場所ないのに…」


地面はぬかるんでいて、チャコールグレーの制服は泥がべったりとついて汚かった。


「てか、スマホどこに入れたっけ…。あった、ここで位置情報とリンクして現在地を調べれば…、って、なんで!?」


幸い、スマホは持っていたが、なぜか【圏外】となっていて現在地も調べられなかった。一応モバイルバッテリーも所持しているが、何かが起きたら困るため、スマホの電源を切ってカバンの奥底に入れた。


耳を澄ますと、小さくだが足音と話し声が聞こえる。もしかしたら、ここの場所がわかるかもしれないし、ついでにタクシーを呼んでもらおうか。と考えていた彩花は、音のする方へと、泥だらけの格好で音のする方へと走っていった。

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