第14話 俺は後輩と一線を越えたい

 放課後の帰り道。

 俺達は、一緒に最寄りのドラッグストアへ。

 エッチの時には欠かせない、コンドームという奴だ。


「0.1mmとか、0.05mmとか、色々ありますけど、何がいいんでしょう?」


 興味津々きょうみしんしんで、コンドームのコーナーを眺める紬。


「俺も詳しくは知らん。薄い方が気持ちいいとかなんとか」

 

 予備知識はつけているが、薄さは好みによるとか。


「じゃあ、0.01mmのにします?」


 コンドームの箱を渡してくる。それはちょっとどうなんだ。


「薄すぎだと不安だな……って何を言わせるんだ」


「すいません。私もちょっと変になってるのかも」


 そう言う紬は、確かにいつもと様子が違っている。

 今日ってのはいきなり過ぎたかと思うが、もう止まれそうにない。


 悩んだ末、間をとって、0.05mのものを1箱購入。

 俺も、いよいよするのかと思うと、心臓が自然と高鳴って来る。


◇◇◇◇


 自室のベッドにて。

 俺が上になって、こいつは仰向けになっている。


「なんか、緊張してきました」

「お、落ち着け、紬」

「縁ちゃんも緊張してるじゃないですか!」


 こいつに指摘された通り、滅茶苦茶緊張している。


「すまん。男の方がちゃんとしないとな」


 深呼吸をして、少し息を整える。

 俺も、初めての想い出を変なものにしたくないし。


 何度も深呼吸しても、心臓の鼓動が収まりそうにない。

 少し焦る。


「大丈夫ですよ、縁ちゃん」


 紬の顔を見ると、幾分落ち着いた様子だ。

 俺の方をまっすぐに見つめてくる。


「……下手でも嫌いになったりしませんから。信じられません?」

「信じてるが、男として色々とだな……」


 痛がらせてしまったら、とか、色々考えてしまう。


「誰でも最初は下手だから、大丈夫です!」


 なんで、俺はこいつに励まされているのだろう。

 少し可笑しくなったと同時に、徐々に落ち着いて来ているのを感じる。


「まあそうだよな。最初はだれでも下手だよな」


 そんな事を言いながら、徐々に服を脱がせていく。


「エッチな漫画で、こういうのありますけど、恥ずかしいですね……」


 視線を逸らしたまま、そんなことを言われる。

 そんなこいつが可愛くて、首元にもキスをしてみる。


「ひゃ。くすぐったいです」


「嫌か?」


「嫌じゃない……です」


 そうして、行為に没頭していく俺達。


◇◇◇◇


「いたたた……」


 足を動かそうとした紬が言う。


 恥ずかしかったので、そそくさと服を着た俺達。

 シーツをみると、赤い染みが出来ている。


「すまん。やっぱり痛かったよな……」


 さすがに初めては痛かったようだ。


「なんていうか、棒をお腹に押し込まれた感じですね」


 そんな感想を語るこいつ。


「ほんと、俺がもっとうまくできれば良かったんだが……」


 行為の最中、こいつが何度か痛がったことがあった。

 なんで、途中で何度も休憩を挟んで、なんとか最後まで出来た。


「大丈夫ですよ。痛いのは覚悟してましたから」


 そう言って、俺の悩みを笑い飛ばしてくれる。


「それに。次から気持ちよくしてくれればいいですから」


 冗談めかして、そんなことを言ってくる。


「それ、男にとっちゃ、プレッシャーだぞ」


 こいつなりの励ましなのだろうが。


「次までに思いっきり勉強しておくからな」

 

 ニヤリとしながら、こいつを見つめる。


「縁ちゃん、そういう勉強は、ほどほどにしてくださいよ……」


 少し引いている様子の紬。


「しかし、エッチしても何か変わるものでもないなあ」


 正直な感想を語る。


「未知の体験!てのがありましたしねえ……」


 同じように、身も蓋も無い感想を語る紬。


「まあ凄い、気持ち良かったけどな」


 やっぱり、一人でしているときとは別の気持ち良さだった。


「男の子はそういうのずるいです。でも、次に期待してますから」


 本当に期待しているような視線を送って来る。


「だから、そういうのはプレッシャーなんだって」


 事後のトークをする場で、こうしてついふざけてしまう俺達。

 やっぱり俺たちの関係はなのだろう。

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