第21話 おやつはもう少し後で
「なんだ?機嫌良いな」
家に帰ってきてからも、ずっと顔がにやけっぱなしのアカリ。ミツキやルカと夕御飯を食べていても嬉しさが顔に出て、ルカの方を見てニコニコと笑う
「ルカちゃんがね、ここに暮らそうかなって話してるの」
「ええ、ご迷惑でなければ……」
申し訳なさそうに話すルカに、アカリが抱きついて椅子から落ちそうになる二人。その向かいに座っているミツキが苦笑いでその様子を見ている
「でも、しばらくはアカリの部屋になるけど……」
「ずっとで良いよ。ねっ」
「引っ越しの手続きは、父さんがすると思うから……」
「お母さんにも言うよね!私が言いたい!」
結局アカリのテンションが高いまま、騒がしい夕御飯が進んでく
「ルカちゃんのお菓子、毎日食べれるなんて幸せだなぁ……」
「毎日食べてたら、太っちゃうよ」
アカリの嬉しそうな顔を見て、ルカがふふっと笑う
「大丈夫……」
突然ピタッと話を止めたアカリ。何か不思議な気配を感じて、キョロキョロと辺りを見渡しはじめだす
「アカリちゃん、どうしたの?」
ルカの心配そうな声に、あたふたと急に不自然な笑顔になる
「ううん。何でもないよ」
笑ってごまかそうとするアカリに、ミツキがはぁ。とため息ついた
「片付けはやるから、面倒な事はさっさと終わらせてこい」
「……な、なにを?」
恐る恐る聞き返すアカリに、ミツキが今度は大きめのため息ついた
「学校の宿題。昨日ずっと寝てたけど終わってるのか?」
その言葉を聞いて、宿題をしていないことに気づいて、一気に焦りだすと、隣にいるルカの手をぎゅっとつかむ
「ルカちゃん!手伝って!」
「意外と遅かったじゃないの……」
アカリが宿題のことで焦っている頃、窓辺から外を見て、嬉しそうにヒカリが笑っていた
「ヒカリー。お兄ちゃんからお菓子もらった……」
ガチャと勢いよく部屋の扉を開けると、なぜか部屋に入らず部屋の前で立ち尽くしている
「アカリちゃん、どうした……」
少し遅れて飲み物を持ってきたルカが、アカリの体の隙間から部屋を見ると、窓の外に巨大な何かが見える。窓辺にいたヒカリが振り返り、ぼう然としている二人の方を見て、ふわりと浮いて、アカリの肩に乗る
「さてと、行きましょうかアカリ。美味しそうなそのお菓子は、 仕事の後のお楽しみね」
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