第2話 いったいどこで何を間違った

いったいどこで何を間違ったんだろう。


思えば昔から何をやっても上手くいった試しがなかった。


だからなのか、誰かに褒められたこともないし、尊敬されたこともきっとない。いつだって他の誰かを羨んで、妬んで、それで自分との差に落ち込んで。


上手いことやりたいとは言わない。せめて普通でいい。でも、その普通ですら難しかった。


惨めな気分になって、でもそうしているのは本当のところキラキラしている他の誰かじゃなく、自分自身だってことに気づかないふりができなくて、自分を上手に騙すことができなくて。


誰かに認められたい。誰かに受け入れられたい。そんな気持ちが常に自分の内から自我を苛む。ずっとそういうものだと思ってきた。


でも最近違う風にも思うんだ。本当に自分は他者からの承認を欲しがっているのかと。自分が心底欲しているのは、本当は自分のことを認めたいという心なんじゃないかって。


もしかしたら他の誰かは必要ないのかもしれない。自分で自分のことを上手く受け入れられないから、他者の承認をもってしてそれを金科玉条として自分を誤魔化そうとしているんじゃないかって。自分を誤魔化すのすら他人に頼ろうとしてるんじゃないかって。


でも、とにかく何かが間違っている。


ここまで言って今さらこんなことを聞くのはおかしいかもしれないけど、それでも誰でもいいから聞かずにはいられない。


いったいどこで何を間違ったんだろう。


さて、この返答を求めていない問いかけにあえて何と答えるべきだろうか。入口で間違った?いやまだまだこれから先の出口を間違えるんじゃないかとか。少なくともひとつだけは言える。誰でもいいからといっても流石に聞く相手を間違った。それはきっとこの世の嘘や真実とやらよりも少しだけ確かに本当らしい。

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