第32話 一方的
「撃てぇぇぇぇぇぇぇぇ!」
************
「応射だ!撃ち返せぇぇぇ!」
こうして火蓋が切られた...........が、
「何故当たらん!向こうと同じ砲なのであろう?」
「わかりません!!!更に敵の弾は爆発するのです!!!
このままでは兵の士気が保てません!」
飛び込んできた兵士は、既に1/4の兵が発狂して逃げ出していると続けた。
「兄上.....この魔鉄砲は本当に向こう側も装備しているのでしょうか?」
「.....わからん.....だが、あいつらが送ってきたのは約2年前....そんなに早く新型を
作れるとは思えん....」
「ですよねぇ、我々の精鋭の魔法部隊を編成できるまで5年は掛かりましたぞ」
「うむ、その話とは少し違う気がするが、おかしいな」
そういってハスタル国王は小高い丘に設置されたテントから出て望遠鏡を覗く。
「なんだ⁉あれは⁉」
「どうされました兄上!」
「ウリナンあれを見てみろ!」
「あれは.....カルバリンと似ているが.....何だあれは⁉」
***
まぁ、あの両国王が驚くのも無理はないなにせウリナン連合軍に恐怖を植え付けているのは戦車であったなにせ鉄の塊が迫りながら砲弾やら機銃やらを撃ってくるのだ。
誰だって怖い私だって怖い(筆者)。
「こちら司令部、戦車隊に通達。この先の丘に敵の本陣がある模様。砲弾が届くギリギリの距離から威嚇射撃をせよ。以上」
司令部から各隊に行動を伝えるのは私の仕事だ。
仕事って言っても大雑把な動きを伝えてそのあとは司令部要員に任せている。
前線の偵察隊からは撤退していく敵部隊多数と言われた。これは本陣側に
敵兵が集まりそうだなぁ....
「蓮、くs....奏太、騎兵隊と一緒に敵本陣に突っ込んでかき回してくれないかな?」
「おう、わかった」
***
「騎兵隊、俺に付いてこい!」
奏太も無線の指令を聞いてたらしくて、先に行ってしまった。
遅れて出発し追いついた蓮が奏太と並走する。もちろん馬に乗ってだが。
「なぁ、蓮、赤坂ってあんなに命令してくんの?」
「いやまぁ、ここの兵隊全員に指示出してるからなぁ。
それに結構いい作戦ではある」
「へ~、そういえば、あんときの冒険者たちはどうしたんだ?」
「あ~、ギルドに置いてきた」
「え?連れてこなかったんだ」
「いや、雇ってただけだし」
「あはははは、お?あれか?本陣」
「いや、見えてるけどまだ遠いぞ」
「どんだけかかるんだよ....」
***
「王様方!敵の砲撃と騎兵がこっちにきます!早くお逃げください!」
「なに!兄上!早く逃げましょう!」
「何を言うか!奪還までもう少しなのだぞ!ここで退けるか!」
「王国を取り返したい気持ちもわかりますが、今は無理でございます!
わが城にはまだ精鋭の魔法部隊がおります、あ奴らの兵を減らしてから
攻めても良いではありませぬか!」
「むっ.....そうだな........すまぬウリナン......」
「では退きましょう。おい!早く馬を持ってこい!」
そういってウリナン連合軍は撤退した。
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