第22話 帰還

複製された魔界の門から帰還した偵察勇者一行が王都ハスタルの人気のない

王城地下から外にでてみた光景は、


「は?なんだこれ...。」


唖然としてしまった。

なにせ王城の城壁は壊され、燃える王都、ドラゴンの唸り声がするような状態だ。


「え?っとあぶねぇ。」


蓮が急に飛び出して襲い掛かってくるゴブリンを一刀両断する。


「ここって王都だよな?」


「じゃなかったらあの門がこの城にないだろ...いやでも...」


「いやそんなことより、ここの国民はどこに行ったんでしょうかね?」


縦とショートソードを備えた冒険者のウィールが言う。


「そういえば、出発してどんだけ経ったっけか?」


ウィールは何故か無視され奏太が訊く。


「もう、5年は確実に経ってるな、よく魔界でそんだけ過ごせたな俺たち...。」


こんな状況でも雑談をする余裕があるらしい。


「そういえば、出発する前日の、えーと、アカサカ様とサクラ様が村の再興に行ったと...。」


日記をつけていた魔法使いの女性、リリィがページをめくりながら言う。


「そういやそんな話してたな、なんて村だっけ?」


記憶能力があまりよろしくない奏太含め男共みんながわからないという顔をする。

5年も魔界にいて、襲われることに慣れてしまった一行、歩いて北門に向かう。


「王都の東側にあるイヌルという大きな集落ですね。」


王国の地図を開きリリィが言う。


「ま、とりあえず東に向かうか。」


「そうだな」


と、東門ではなく北門に向かっていく勇者一行であった。




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