第16話 防衛線

イヌル防衛隊を34番隊の隊長さんに任せ、私は第3駐屯地に向かっていた。

王都東側の遅滞防衛をする為に第3駐屯地に残った4つの戦車隊は横陣

により防衛線を構築していた。


「自走砲と駆逐戦車は適正距離に敵が入り次第発砲!」


だいぶこの世界にとっての異世界の兵器の扱いにも慣れたようだ。

この兵器を使うのはたいてい魔法適性が弱かったり無かったりする人だ。

魔法属性のある人達は桜の指揮する部隊に編入している。

私も加勢するために指揮を執っていた獣人に話しかける。


「中佐さん、中戦車を2両貸してくれる?」


「アカサカ閣下!何故ここに?」


「そんなの決まってるでしょ?貴方たちの活躍を見に来ただけ。それより

質問に答えてくれる?」


「はっ、失礼いたしました。しかし、4個戦車隊といっても4個増強戦車小隊規模

です。割けるとしても軽戦車1両が限界です。」


「じゃぁ、Ⅲ号A型を借りるわ。」


私のⅡ号G型だけでは少し不安だったのだ、1両増えるだけでだいぶ

安心感が大分違う。


「じゃぁ、殿は任せたよ?」


「了解しました!」


見事な敬礼をして戦車隊の指揮に戻る。

こっちはこっちで見てこないとなぁ。戦争っぽくなってきたなぁ。


「じゃ、こっちも出発するか、A型は準備いい?」


「はい!いつでも行けます!」


「じゃぁ、前進!」


駐屯地を出て、東側塹壕線に向かう。


「アカサカ閣下、こちら側は確か牛の魔物によって突破された塹壕線の近くでは?」


「そうだよ?でもね、言いたいこともわかるよ?東側が突破されるほど、

強いのか数が多いのかわからないけど、たった軽戦車2両だと少し危険だからね。」


「なら何故ここに?」


魔物がいるかもしれないところに来てこんなに肝が据わってるのか・・・

まぁ、考えなしでこんなところには来ない。


「いやまぁ、実験かな。」


????

顔が見えなくてもなんとなくわかる。わかってないよね(笑)


「A型は今から2号車って呼ぶよ?こっちは1号車ね。で早速、ここから西側に見える丘から偵察してくれる?私はここで待ってるから。」


「はい、わかりました。」


戸惑りそうになってもしっかり答えるあたり優秀だ。

そんなことを考えながら無線機を手に取る。


「魔法科部隊準備いい?」


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