本編
第1話 ある山の洞窟にて
海風が香る夜みんなが家で団欒を過ごす平和な時間。
そんな海辺集落で肉を捕るには運河を挟んだ向かい側の山脈に行かなければならなかった。そこで狩りをしていたソルスは見てしまった。
魔界の門が開かれるのを・・・
開かれた門から出現した多種多様な恐ろしい生物たちを前にして
ソルスは腰を抜かし息を止め観察することしかできなかった。
「グォォォォォォォォォォォォォ!!」
「ニンゲン コロス セカイ マオウサマノモノォ!」
その圧倒的数と恐怖心から逃げ出そうにも足が動かない。
「ヒェ⁉」
目の前を巨大な人?が歩いている。
え?これ絶対にやばいやつじゃん、あいつらが言ってる魔王様って神話級の
化け物じゃんかよ・・・誰かに伝えないと・・・。
動かない足を無理やり動かしながら村へ続く橋に向かい、全速力で走る。
そして今見てきたもの全てを村の人々に話しても冗談だと言って相手にしてくれない。そりゃそうか、神話級の出来事なんて信じてもらえるわけないか。
「嘘じゃないんだ‼信じてくれよ‼」
信じてもらえないことはわかっていたことだがあれは本当の出来事だった。
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
悲痛な叫び声が後ろで轟いた。そこにいた全員が顔面蒼白になっていく。
あの時と同じ化け物たちの声。
「ニンゲン、ニンゲン、ニンゲン、ニンゲン!!!!!」
全身緑でエルフのような耳に錆びた剣をもった異形な生物が森から続々と現れる。
そして呆然と立ちすくむ人々を襲っていく。
村人たちはなすすべもなかった。
狩りに出かけたソルスの仲間以外は。
王城
「国王陛下、急報です!」
「なんだ、この忙しい時に」
今このハルスタ王国は隣国との戦争に勝つために召喚の儀式を行っていた
「アルグラン辺境伯領のイルヌ村で魔物が大量発生し村が壊滅致しました!」
「雑魚な魔物達だろ?そんなこと何度もあったではないか、冒険者などに
任せておけば良いではないか、下級で十分だろう?」
今まで魔物の異常発生はよくあり小規模な村が壊滅することは大抵冒険者達が
何とかしていた。いやまて・
「おい、イヌルと言ったか?」
「はい、イヌルでございますです」
イヌル村といえばこの王国の中では最大級の都市だ。そこが魔物によって滅ぼされた
となると一大事である。
「村の衛兵は何をしていた!」
「イヌル村の衛兵15名全滅でございます。」
「何?魔物の情報は?」
「書物によると、ゴブリンという魔物だそうです。」
ゴブリンとは200年前に召喚した英雄によって滅ぼされた魔物である。
「イヌル村周辺の集落も堕ちたそうです。」
「なっん!魔物の数は?」
「目視で確認した数はおよそ200です。」
「戦争してる場合ではないな・・・」
「しかし、王よ。ゴブリンといえば雑魚だと記録に」
そうだ、ゴブリンといえば所詮は雑魚である、冒険者を集め迎え撃てば
良いような魔物である。しかしハルスタ国内には冒険者ギルドが無く、
冒険者は早急の場合は他国のギルドに頼み、探索の場合は国内にいる
冒険者を雇って対処していた。今国内にいる冒険者がどれほど居るかわからない
この状況で魔物退治は厳しい。それに今まで200もの魔物など出現したことがない。いままでは多くても40だったのだ。
「他国から冒険者を呼ぼうとも時間がかかる。それに今までとは規模が違いすぎる。」
「しかし、今兵は限界です。」
「そのための召喚であろう?今使える兵の数は?」
「後方で待機していた34番隊50名と新兵100名です。」
「致し方ない、とりあえず34番隊に偵察をさせよ。」
「了解致しました。」
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