第7話 挽回計画

僕はそれを聞いてF53をエルロンロールさせ背面に入れた。そのまま5万フィートから垂直ダイブに入る。


速度が一気に高まっていく。高度が急激に減少していく。マッハ2.5を超え、F53の限界速度に達した。高度1万フィートでエアブレーキを展開し、ステックを一杯に引いた。機体に8Gが入力される。そのGに堪えてマッハ1.5、高度100フィート、海面スレスレで水平飛行に移った。


正面に南小島が見える。そのままエアブレーキを展開し、速度を150ノットまで減速した。VTOLモードに機体を遷移させる。そして5万フィートからダイブに入って約3分で、南小島のヘリポートに着陸した。


僕はF53から飛び降りると、前に見える五菱家の別荘の建物に走った。建物の前に執事が立っていて、真理の部屋の場所を教えてくれた。その部屋に飛び込むと奥に机があり、そこに三つの引き出しが並んでいる。

その中央に『拓也』の名前を見つけ僕はその引き出しを開けた。中に僕が運ぶべき茜の『イヤリング』が入っている。

それを掴むと別荘を飛び出し、F53の前席に飛び乗った。


エンジンがアイドリングのままだったF53をそのまま離陸推力に入れて、南小島を飛び立った。丁度、和幸が操縦する二重反転ローターのヘリコプターS97がヘリポートにアプローチしていた。


しかし、僕はそれを無視してF53を水平飛行モードに遷移させるとアフターバーナー出力で高度を上げた。

戻りのフライトは燃料補給をエンルート上の屋久島で行う必要がある。


その時、真理が声を上げた。

「拓也さん、この先で安曇重工のJEJ空中給油機が待機しています。四井に勝つ為、屋久島での給油テクランをキャンセルして空中給油を行います。高度を3万フィートへ」


僕は驚いていた。真理がそんな手配をしてくれていたなんて……。

「分かった。ありがとう」

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