転機
「俺にどうしろってんだ? ブラックホールの外へ行けってのはごめんだぜ」
私はあることを考えていた。
「お前の下っ端たち、私に預ける気はないか?」
味方3人に怒られるかな、と皆を見るが、みんなは笑いを堪えているようだった。
「俺はどうするんだ。人質にでもなればいいのか? あいつらは奴隷扱いされるのはごめんだ」
「それがヤクザの流儀、ってやつか?」
私が心底楽しそうに言ってやると、神宮はギッと私を憎しみの目で睥睨する。
「お前は、私たちの会社で社員になってもらう」
「は?お前はアホなのか?」
神宮がそういうと同時に、蒼の回し蹴りが神宮の頭上を通り過ぎた。
「有里をアホと言っていいのは僕だけだ」
いまいち今の状態との差が際立つそのセリフと行動に、ようやく神宮は緊張を解いた。
「分かった。そうさせてもらおう」
神宮はその後も顔を引き締めたままだった。私達が疑問に思っていると、何一仕事終えたような顔をしている、と軽く叱られた。
「まだ、政府が諦めてねぇだろうが。気ぃ引き締めろ」
そういやそうだった。
神宮がニヤリと笑う。
「なんだお前らおっちょこちょいか」
そのままクスクスと笑う顔を見て、斬が一言。
「相変わらずおっかねぇ笑い方だな」
誰に口きぃてんだこら、と戯れている大人2人を放っておき、私は思考を巡らせる。
「まあいいわ。俺らでなんとかしといてやるよ。政府の人間ってのは俺らより遥かに劣ってるからな……」
そう言って肩を竦める神宮に、斬があれ?と一言付け足す。
「そういえば、爆弾使うようになったんだな」
「はっ?カタギにんなもん使うかよ」
いや、何かがおかしい。戦闘を神宮たちが背負っていたとするなら爆弾使いでないと説明が厳しい。なのに、こいつは本心から知らないみたいだ。政府の方が武力があるとして、彼らはこいつらに何を期待していたのか……
「伏せろ!!」
神宮が咄嗟に私の頭を地面に擦り付けた。
文句を言う時間もなく、聴き慣れてしまった爆発音が、暗闇の中光り、開戦の狼煙をあげていた。
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