交わる道、交わらない道。
「この景色、斬も一緒に観たがるだろうな」
紐に散々振り回された挙句、たどり着いた所は赤く輝く、自然の星だった。
ここがオークション会場?と、ちらりと蒼を見ると、ニヤついた目で、だが嘘はついてない、という目でこちらを見ていた。
白と黒が映えるチャイナドレスを無理やり男性ものに改造したのだという服を着ていて上機嫌だ。とにかく自分のやりたいことを極めていた彼は、私の憧れだった。
「こんな綺麗な景色みないなんて……もう知らん!」
少し駄々を捏ねるように、無重力状態をとったまま三角座りをする彼女を見て、
「ちょっとぉ、実ちゃん?」
杏子が言ったのだとわかると、一瞬で、女子扱いどころか下手したら2人が兄弟に見えるであろう微笑ましい私達は、急いで彼女と向き合った。
「何をいっても、困る動作ばかりで、かと思えばいきなり銃を撃つという暴挙。
もう私の星に避難しろと、何度言っても、絶対全部が終わるでは側にいてやるさ、だってさ!」
それに続く言葉は、叱られると確信しながらも、言わずにはいられないことだった。
「斬が私より先に死ぬのは許せん」
私の表情はどんな時でも変わらず、見分けるのに苦労する。だが幸いに、私の周りには沢山の戦友がいる。
そう無理やり考えながら、武器庫で調達してきた各々の武器を、調節する。2人も一瞬の躊躇いもなく付いてきた。
馬鹿だなぁ、と私は笑ったが、こいつらに報いてやるのに何であろうと出来ることであればしてやろう、と決めている私と、どちらが愛してるかな?と子供のような言い草で彼女は彼らを優しく見つめた。
「何だこれ?」
やけに水分のような物が入っていそうな箱を私が無造作に開けると、
腐った人間が赤い血を纏わせ、猛スピードで漂ってきた。
「な……!!?」
鈍く銀色に、刺すように放ってくるそれに、放り去ってしまいたい恐怖心を無理やり私自身に収め入れる。
だが、宇宙を想いのまま支配できてしまうのはまだ早いだろ、という声が、どこからか聞こえてきた。
「誰だ」
威圧的に言ってやると、赤い死体を身に纏って向かってきていた10人はいるだろう敵が怯んだ。
その隙に、彼女はスタンガンを皮膚が出ているところに押し付けた。
「ギャア……」
その一言を聞く暇もなく、私は遠くに駆け出す。私が優先することは、2人の邪魔にならないところに行く、または、情報まとめだ。
早すぎる心臓の動きを治めようと深呼吸して、耳を済ませる。
敵の性格、仲間の性格、そして自分の性格
全てを統合して、最善を目指す。
仕事中にやっていることだから、これくらいならすぐ終わる。
時々、足りない時は、相手に話しかけるなり、水をこぼすなどして状況を変えて自分好みのシチュエーションを作り出す。
ちまちまとした区切りの中で、まるで迷路のような不思議な壮行と呼ばれる目的地を望み、誰もがこんな丈夫な建物、潰れやしないだろ、という思いでゆったり椅子に腰掛けていた人が大半なのか、一瞬の間で崩れた。
地球が滅亡する13年前にその会議、ということは、その時既に時代遅れだったと言ってもいい。
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