孤独

「これ……自然の星の大爆発に巻き込まれたのか?」


 そう言いながらも、俺はその可能性が、ほぼ0%だということを知っていた。


 宇宙に発生するガスの雲と、自然の星の燃料有無を計測すれば、爆発の危険性がある自然の星の場所は分かる。

 それを測定する、デンジャーピックと呼ばれる機械を、何処の会社も持っていることが常識だと仕事中に教えてもらっていたからだ。

 2人も俺が本気で言っているのではない事を分かっていたようで、言葉に答えることなく周りを警戒している。



「とりあえず、何か残っていないか確認してみるか……」



 有里が星の破片に近づく。




「有里!ダメだ!戻れ!!」


 みのるが悲鳴のような声を上げ、有利の元へ行こうと星への糸を引っ張る。




 瞬間、爆発音が轟いた。




「ぐあっ!?」




 爆風によって物凄いスピードで吹き飛ばされ、破片が体にぶつかって傷を残す。




 しばらく飛ばされて、やっと安定すると、すぐさま2人を探す。




「……!!……!?」




 自分の声すら聞こえない。耳も少しの間使い物にならなくなるほどの音だったのだろうか。


(おいおいせめて原爆じゃなくて、火薬による爆発であってくれよ)


 宇宙で爆発できるその2つを頭から振り払い、体の状態を手探りで確認する。


 生きていて、火傷や体の挫傷はあるものの、爆発した星が見える位置にいて無事だということは、火薬を使った爆弾だろう、と結論付け、また改めて2人を探す。


 爆弾は宇宙で四方八方に押し出されるように吹き飛ぶため、2人とは随分離されているとは思うが、諦めずにキョロキョロと目を動かす。




 手に何かが触れた。




(やっべ……)




 それが、星に繋がれていた糸だと分かって離れようとした途端、






その爆弾は炸裂した。






 目を開けると、身体中に痛みが走った。


 歯を食いしばって堪えつつ、怪我の具合を確認する。



(こりゃ気絶もするってもんだな)



 皮が所々捲れ上がり、血が球体になってぷかぷか辺りに景気良くばら撒かれている。


 他人事ならば綺麗に見えただろうにな、と思いつつ、絶望にかられそうになる。


(完全に2人と離されただろうな)


 何故爆弾が田口の星に仕掛けられていたのか、なんて今の俺にはどうでも良かった。


 ただ2人の安否が知りたい。


 必死に声を張り上げる。途端に、痛みで呻き声に変えられた。


(くそっ)


 上着を脱いで、一応の応急処置とやらをしてみる。

 1番ひどい傷口に服を力一杯巻きつけると、なんとか血がはみ出ることはなくなった。少し痛みは増したが、仕方ない。


 いったん冷静になろう、と考えたその一瞬、耳鳴りが聞こえた。

 不快に思って頭を振っても止んでくれない。


(なんなんだ)


 思わず頭を抱え込むと、


今度はハッキリと声が届いた。





「斬!!」

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