新田一郎の日記
俺は、視線を交差させて決められた代表として、日記を声に出して読む。
一文字たりとも変えること無く、読み上げる。
「とんでもないものを開発させられてしまった。
警察等のために、全ての星に付くことの出来る磁石を作れ、だと?
無重力下になった空間で、警察なぞいるもんか。
力の行使なんて無理に決まってる。
逆に、その磁石が引き金となって争いが起こりかねない、と何度も石田に言っているというのに、全く聞く耳を持ってくれない。
作らなければ俺の息子を殺す、と本気で言っていた。
それだけ、治安維持は世論で叫ばれているのだろう。みんな血眼になって、新しい状況での対策を探している。
俺はどうすればいいんだ。」
一息つき、別の日に移る。
「あの『全ての星に付くことのできる磁石』、
あれは一部関係者以外には門外不出にする、という結論が出た。
石田は俺に、磁石を安全に保管するにはどうしたらいいだろうか、と言ってきた。
存在自体を知られずに、大切に保管だなんて何と無茶苦茶な。」
そして、肝心のその日を、俺は読み上げた。
「思いついてしまった。
あれをわざと、無意味なものでも希少価値のあるもの、として保管しておけばいい。
あれは危険すぎる。
『出来損ないの星』として噂を流し、初の星だと有名にして、情報を錯乱させよう。」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます