第4話「ダンス部の分岐」



ダンス部が二つあるのにもどうやらきちんとした歴史があるらしい。我々の所属するジャズダンス部が先に存在し、モダンダンス部は後発で設立されている。先にできたジャズダンス部はできたばかりということもあり部活動としての知名度はそれほどでもなかったが、高校でダンス部のあるところが少なかったことも手伝って徐々に部員の数は増し、創立三年もする頃には全国でも強豪校と呼ばれる程になっていった。その時の顧問は二つのダンス部を受け持つまでになっている。我が高校のジャズダンス部とモダンダンス部がその二つのダンス部だ。


しかし今や立場が逆転して後発のモダンダンス部が全国の強豪を名乗っており、我がジャズダンス部は見る影もないまでになっている。全国に名を馳せるダンス部だけでは初心者が入りにくいということで生徒からの強い希望が出続けたために二つ目のダンス部が設立されるに至ったということだ。その後の経緯は不明だが、二つのダンス部の勢力は逆転することになり、今の状況が生まれたのだと言う。


そして、今となっては内容が似通っている部活動を強弱で分けてそれぞれを認定するのは違うのではないかという声が上がっている。過去のことは良くわからない。しかしダンス部が二つ存在することには何かしらの理由があるはずだ。顧問の力の入れ方が変わったのが原因だろうか。それとも生徒の入れ込み具合がどこかで変化したのだろうか。


我々にはその分岐点を知る術もない。

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