ラインテルン公国との開戦

前回からの続きからラインテルン公国との戦争に向け裏工作を始めたベルゼブブ ラインテルン公国との大規模な戦闘に備え、御前会議を開いた。


「ラインテルン公国との戦争を行います。まずはシンプルに国境近くの都市エイカード、ラインベル、テルトカールドの3つ地方を落とし国境線を広げ、国民保護の名の元に更に領地を広げたいと思います。異議はありますか?」

一都市を一地方と換算し、エイカード、ラインベル、テルトカールドを三地方とし支配領域を広げることになる。


「いえ、ありません。もう既にトラードにネクロマンサー軍を派遣しております。」

※ネクロマンサーというのはゾンビやスケルトンといっま生きてないけど動けるものを操ることが出来るものを指します。

本体のことはネクロマンシーまたはアンデッドと言います。


「撃っても死なず刺してもしない軍隊を使い国民には被害を出さずに都市を陥落させたいですね。」


「はい、、その通りでございます。占領した都市の統治は織田信長たちに任せます。」


「あい 分かった。」

(いつ間にか呼び捨てに…)


「ネクロマンサー軍司令官のビフロンスには待機してもらっており、総勢約4万のゾンビ、スケルトン、ワイト、デュラハンです。その兵力で敵の城砦を2つほど陥落させております。」


「もうひとつの部隊であるムルムル軍 総勢約2万の

ヴァンパイアとヴァンパイアの上位互換であるノーライフキングの部隊がもう一つの城砦待機しており、都市近くに陣を引いて準備をしておりました。」


「うん分かった。よし、かかれ!!」

ベルゼブブの号令が送られると一斉に都市に向かって進軍 都市守備隊と交戦になったが、守備隊は敵前逃亡したり降伏したりと思った以上に士気が低く予定よりも早く都市は次々と陥落していった。

都市内に入ると城砦や城の大きさの割には市民の家や商店はボロボロまともな生活を送ってるとは思えなかった。

飢えに苦しみ、病に倒れても助けて貰えない悲惨な状況だったことはすぐにベルゼブブの耳元に入った。


すぐさま、食糧や医者などが送られた。

そんな状況のためか貪るように食料を食べ、医者に診てもらう人達で集まり、1人の年老いた男の人がムルムルたちに恐る恐るこの有様について話し始めた。


「ここは元々、アルカーディル様という貴族が治められていた地域でエルフやコバルトなどの諸民族、 ・少数民族とも仲良く暮らし豊かな生活を送っていました。アルカーディル様が亡くなられるとアルカーディル様の子息ヘイカー卿が統治なされたのですが城の新設や城砦の新設・拡張・修復、更にはラインテルン公国の諸侯となりパルト族などの領地を奪ったり奴隷にしたりと散々なことをされ、ラインテルン公国軍から都市守備隊と名乗るお目付けが送られ、反乱分子や兵士の機嫌を損ねたものを乱暴したり見せしめとして首をチョンパしたりと人間とは思えないことをしていました。」

涙を零しながら崩れるように土下座をし始めた老人にいたたまれないと感じたビフロンスは全軍をエイカードに向かわせた。


ベルゼブブも同じ時に進撃命令を出しエイカードを包囲するため向かった。

「全軍 エイカードを攻め落としなさい。守備隊を1人残らず生け捕りにして極刑に処します。」


「はっ!!」

その頃、エイカードの城に2つの都市が落とされこちらに向かってくる謎の大軍についての情報が入った。


「アーナード城主 大変です。」


「どうした。騒々しい。」


「ラインベルとテルトカールドが落とされ、都市守備隊の多くが捕虜になったのこと 一部は逃げ出しここに集まりつつあるとのこと。」


「なんだとー!! すぐフェルナンド守備隊司令官を呼び、撤退の準備を始める、」


「はっ ポロワ城代には?」


「ポロワ軍は殿とし撤退の援護 我らが撤退次第、逃げ出せと伝えろ。」


「了解致しました。」


「くそっ!!!! まさか大魔道士長様と最高神官様が予言されたことなのか? 有り得ない時期が早すぎる!!」


「城主 お逃げを」


「分かった。覚えておれ ラインテルン公国軍と共に滅ぼしてくれるわ!!」

捨てセリフを言い残し馬車に乗り込んで城塞都市アラリスクまで逃げることとした。


「敵軍はどれぐらいいるかなー?」


「敵軍にとっては脅威だろうな。大神官でさへ食い止めることが出来ない無敵の軍団を相手に戦うんだから。」


「あのおじいちゃんにあそこを統治させて貰えるように頼んでおかなきゃね。」


「あぁ、もうすぐエイカードだ。」

エイカードにいる都市守備隊は約5千 それに対しネクロマンサー軍約7万で攻め立てることになる。

(2つの都市戦でゾンビに噛まれたものや捕虜の中から階級が低く弱そうなのを噛ませたものを足した。逆に強そうなのはノーライフキングに噛ませヴァンパイアにさせて軍に編入した。)


「敵軍 こちらの約12倍以上 飛行する部隊もいるのでただの軍ではない!! 魔道士による結界で… グハッ!!」

胸を貫かれ口からは大量に血を吐いた。最新鋭の鉄の鎧を纏う司令官を手刀で瞬殺したのはサレオスだった。


「ポロワ城代!! 貴様!!何者だー!!」


「我か? 我はベルゼブブ様配下サレオスだ。貴様ら愚弄な下等生物が支配してるのにはもったいない。ベルゼブブ様に献上させて頂こう。」

周りにいる者は剣を抜き、神官式剣術で倒そうと試みた。


神雷シンラ

電気と聖光を纏い素早い居合いによって敵を真っ二つにするための神官式剣術の技の一つである。


「遅いな。」

指一本で受け止められ、お腹に蹴りを入れられそのまま気を失った。

他の者も闘うも秒殺 最初に攻撃を仕掛けた子以外死んでしまった。


「勝手に動いては困るじゃないか!! サレオス」


「いいお土産を手に入れた。神官式剣術を使える小僧だ。」

※小僧とはこの世界でのアルゴール教という宗教があり、神官の見習いのことを小僧と呼びその次は神官見習い、神官、上級神官、主任神官、神官副長、神官長、大神官、大神官長、最高神官と並ぶ。


「へー この子がね。魔力量的には並よりもちょっと上だね。他の子たちもそんな程度か。あとの子はアンデッド化させてお土産にしよう。」

エイカードは司令官死亡により陥落 キツツキ戦法を行う暇もなくあっさりと…

全ての守備隊隊員が捕らえられ、国王最高裁判所の即日開廷が行われた。


「こんにちは 私が国王であるベルゼブブだ。裁判長には私が行います。公平な判断をするためにマルコシアス裁判官とフールフール奴隷保護担当大臣兼捕虜正式な取り扱いに関しての関連事務等担当大臣そしてベレト司法省大臣兼国王最高裁判所長官にも参加してもらい、処罰を決めたいと思います。異議があるなら今すぐに言いなさい。」


「不当だ!!我々は上官の命令に従ったまでのこと何故、処罰されなければならない!!それに最高責任者であるポロワ城主は死んだでは無いか!!」


「それはお前たちがこの惨状を見て見ぬふりをしていたからであろう。一部を除いてはな。」


「市民からの証言によるとエバントス騎士 トラード騎士の2人は奴隷や小僧に食料を分け与えていたこと クラン騎士副士長は奴隷解放を求めていたことで大神官長と対立していたことからその3人は無罪を求刑します。」


「あっ 忘れていた罪状は市民に対する暴行 虐殺 強奪 市民を守ろうとせず敵前逃亡した罪 非人道的な略取による市民権の侵害 そして殺人の罪 それら総合したら全員極刑も有り得たけど捕虜条約に則って階級が高い人間は極刑に処しあとは解放という形になる。異議あるなら話せよ?」

物凄い言葉による圧力 空気の重みが一瞬で変わる。


「私、クラン騎士副士長は市民を守れなかった。アルカーディル様にお仕えしてから30年もの間、エイカードをより良くするために頑張り奴隷解放を決定した矢先にそこの男が暗殺をしたんだ。過去の罪をここで償えー!!」

指を指し1人の男を指し、それはタライドス副城代だった。

裁判を見ていた人からはブーイングが起きた。


「それは誠か?」


「何を言いますか!!私はアルカーディル様に見出された身!! 嘘をつくな。」

ベルゼブブには分かっていた本当のことをイボス未来予知官から伝えられている。

ベルゼブブはタライドスの首を一瞬で360度回転させ、首と胴体が真っ二つになった。


「何が嘘をつくなだ。貴様は死罪に決まってあろう。安心しなよ。家族郎党共々、アンデッドにしてあげるから。」

その言葉に人間は青ざめまわりの悪魔は心酔し忠誠をますます強めることとなった。


「痛みを感じずに死ねたなら良かったでは無いか。次の裁判を行う。」


「私も同罪です。このことを市民に言えなかった。私は…」


「確かに… 同罪だが…苦しんだであろう。暗殺されたことを知っておって言えなかったこと それが自分に貸した罪ならばそれでいいじゃないかな?」

床は涙で水たまりができていた。彼は牢屋に連れられ、後日エイカードの自宅に返された多額のお金と共に…


それはさておいて次々と裁かれていくあるものは無罪にあるものはチョンパされて罪人はサレオスが捕まえた小僧の少年と大神官のみだった。


「君が小僧なの?」


「はい… 僕はアレクサンドルと言い元奴隷の小僧です。」


「なるほど そこの男の名前は?」


「クロワロだ。地方の大神官をやっているが実際はさっきチョンパした大神官長のエレモンドが力を持っている。」


「それは本当なのか?」

頭をコクリと下げ、次のようなことを言い始めた。


「大神官長様のエレモンド様はここの地の有力者の息子で昔、奴隷やっていた時に聞いた話ではアルゴール教教祖の親族家系らしい。それに地元の大神官たちは彼に取り入れないと出世なんて出来ないから賄賂を渡していたとも噂では聞いた。」


「確かに、一部の大神官たちはあいつに賄賂を渡していいポジションにつけてもらってたそうだ。俺もなりたての頃に聞いた話ではほとんどの神官は地元の有力者か有力貴族か名門貴族かに分かれるらしい。俺はちなみに父親が貴族の副官をしていてコネでここの大神官になったもんだ。」

ベルゼブブは彼の話は嘘ではないこと本当のことを話していることを知っていた。


「2人とも無罪で もしくは私たちの宗教の布教活動を手伝ってもらいたいのだがどうだ?

断っても殺しはしないし自由にどこにでもいけるのは約束しよう。」

2人は考え込み、「分かった。」とだけ言った。

次回、宗教の統一と多様な宗教の尊重

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