92時限目【全員、突撃なのー!】

 ◆◆◆◆◆

 突如現れた光の階段! それを見た魔界のラウル、カルナは顔を見合わせた!

 今回も引き続き神の視点で追う!

 ◆◆◆◆◆



「ほぅ、どうやらクライマックスが近づいているようだな。私達も向かうとするか。我が息子アビスも恐らくそこにいるのだろう」


「何故、そう思われるので?」

 カルナは首を傾げる。


「悪魔の勘、だよ。さ、行くとしようか」


「なんだか楽しそうですね、ラウル様?」


「なぁに、息子の成長を見届ける良い機会だからね。私は知りたいぞ、天界で何が起きるのか、この目で見てみたいのだよ。それにだ、折角禁忌をおかしてまで天界に来たのだ。大天使綺麗な女性を拝まねばなるまい。胸が躍るな」


「ラウル様は悪魔だけじゃ物足りないのですか? 失礼しちゃいます」


「ほほう、なら君が私の相手をぶふっ!」


 裏拳、炸裂!


「アビス様に言いつけちゃいますよ!?」


「ふふ、君は鉄壁だね〜、しかしアビスはこちらの天使にうつつを抜かしているようだぞ? カルナの想いはぶふぇらっ!!」


 正拳突き、炸裂!!


「ラウル様嫌いです、バカぽんたん! それでもいいんですーだ!」


「君はサキュバスに向いてないね……」ぶぴゅーっ



 ……




 空を見上げる元天使部達。


 ルシフェルは双子天使を見て難しい表情をする。

「……記憶が……」


「うむ。どうやらフォルネウスの言っていたことは本当らしいの。何らかの力で、世界が変わってしまっていたようだの」


「うん……そうみたい。確か私達は四大天使達に捕まってて……それから……そうだよ! マールちゃんが白天使のロリエルちゃんの身代わりになった瞬間から記憶がないんだよ!」


 ルシフェルは力を解放した。


「皆んな……僕は行かないと……」


 すると背後からの声が呼び止める。


「水臭いことを。私達全員で、天使部なのだろう?」


「ラジちゃん!」


「うむ、どうやらメンバーも揃ったようだの。ならばやることはひとつ!」


 ルシフェルは3人の大天使を見て観念したように頭をかいた。


「全員揃って帰るぞ……! 恐らく先に行ってるであろうフォルネウス君にもまだ謝ってないからな……!」



 ☆☆☆☆☆




 一方、聖域では。


「どうなってるのだ? ……儀式の間に侵入者なのだ!」

 慌てるウリエル。


「そんな……! すぐに侵入を止めなさい! ガブリエルさん、ラファエルさん、ウリエルさん!」


 ミカエルの言葉に頷いた四大天使達はルミナスを解放する。


 ——


 儀式の間へと向かう四大天使を聖域の某所から見上げる人影があった。


「……記憶を蘇らせたか。マナ……」


「……はい。すみません……」


「いや、これで……これでいいのかも知れないな。老人達が何を恐れているのか知らないが……マナ、君はどうする?」


「……自分は……」



 ☆☆☆☆☆



 儀式の間まではかなり距離があるようだ。階段を登り切り神殿へと足を踏み入れたクラス一同はまっすぐ続く長い廊下を走り抜けていく!


 しかし侵入者に気付いた神聖樹により稼働したガーディアン達がフォルネウス達の前に立ちはだかる。


「ちっ……何だこの鎧のバケモンは!」


「先生っ! ここは私達に任せてください!」


「いよっしゃ! いっちょかますぜ!」


「あーらら! やるしかないみたいねー!」


 アルミサエル、カマエル、アラエルの3人はルミナスを全開まで高め鎧達を足止めする!


「お前らっ……無茶するんじゃ……」


「いいから行って! 信じて! はやく!」


「くそっ! 危なくなったら逃げるんだぞ! いいな!? 絶対に絶対だ! わかったか!?」


「「あーもう、わかったからはやくー!」」


「皆んな、先へ行くぞ!」


 フォルネウスは走った。

 気配のする方へまっすぐ。


 暫く走ると建物の中に大きな橋が。

 橋の下から木の根のようなものが伸び、走る一同に襲いかかってきた。神聖樹の根が攻撃を仕掛けてきたようだ。



「きもっ! 先生、ここは私達で引きつけるよ!」

 マトリエルは眼鏡を外しルミナスを解放!

 その後に続きゼルエル、サキエル、ラミエル、レミエル、シャムシエルが力を解放。


 無数に蠢く木の根を天使の力で何とか制している。


「た、頼むっ! すぐに終わらせてくるから、何としても耐えろ! で、やばくなっ——」


「「先生わかったから行ってーーー!」」


 残されたフォルネウス率いる天使部の○○エル達は更に奥へと足を踏み入れた。

 しかしそこには大量の鎧ガーディアンの姿が。


「な、なんて数なのっ!」


 ロリエルは立ち止まり周囲を見渡した。どうやら囲まれてしまったようだ。


「や、やばいの〜! フォルネウス、何とかするの〜!」


「そ、そうは言ってもな……ん?」


 フォルネウスは横でプルプルし始めたクロエルに気付く。


「こ、ここはっ……わ、わわ私がっ! 引き受けたぁーーーー!」


 ルミナス全開のクロエルは暴走! 次々と鎧を蹴散らしていく! 道が開いた!

 するとモコエルが珍しく大声で叫ぶ。

「先生っ、い、行ってくださ〜い! 私〜クロエルちゃんの〜、援護をします〜!」


 なんとも緩い。

 クロエル、モコエルの活躍で包囲を突破したフォルネウス達だった。

 しかしその前に立ちはだかるのは、


 大天使ウリエル、ラファエルの2人だった。


「これ以上はやらせないのだ!」

「大人しく引き下がっていただきます!」


 これまでとは比べ物にならない力がフォルネウス達を襲い吹き飛ばした。

 何とかガブリエル2世とロリエルが吹き飛ばされないように庇ったフォルネウスだがあまりの力に立ち上がることすらままならない。


 その時、


 キラキラ


「な、何なのだ? このキラキラした……」

「ま、前が見えないので御座いますっ?」


「ふっふっふ……これは私が調合した特別製での。力の強い天使のルミナスを一瞬だけ打ち消す力を持つのだ!」


 フォルネウス達の前に現れたのは保健室の幼女メタトロン、そしてその妹サンダルフォンであった。


 メタトロンの秘策で2人の力が一瞬途切れる。


「今だっ! サンダルフォン!」


「おっけーお姉ちゃんっ! はぁぁぁぁっ! 止まっちゃえぇ!」


 強烈な閃光を放つサンダルフォン! その光を浴びた2人の大天使。


「くっ、しまっ……!」

「油断……しました……わ……」


 サンダルフォンの力が炸裂した。

 2人の時間を止めることに成功したのだ。

 しかし、争う者の時間を止め続けるのにはその場に留まる必要があるようだ。


「フォルネウス! 行け! ここは私達に任せろ!」

 メタトロンが叫ぶ。


 フォルネウスは頷き2人の生徒を連れてその場を走り抜けた!


 ——


 次に目の前に現れたのは大天使ガブリエル。


 静かな、それでいてとてつもない力がフォルネウス達の足を止める。

 大天使ガブリエルは口を開く。


「お気持ちはお察しいたしますが……これ以上この地を汚すことは許しません。どうかお引き取りを」


 すると娘、2世が前に出て母を説得する。


「マ、ママ! それでもマールを助けたいの……だから……そこを通してほしいの!」


「……なりません……」


「なんでなの? ママはマールが居なくなってもいいって言うの〜?」


「そうは言ってません……が、しかし」


「なら、そこを通してなのー!」


「なりません」


「ぬがー! 通せなのーー!」


「……え!?」


「むむむ〜なの〜! 分からず屋なの〜! 通さないなら、噛み付くのーーーーーー!」


 ガブリ!!!!


 瞬間、大天使ガブリエルの力の波動が途切れた。

 噛み付きながらガブリエル2世は2人に叫ぶ。


「早く行くのー! 行かないと噛み付くの〜!」


「ガブリエルちゃん、ごめん!」


「くっ……後でメロンソーダおごるから許せ! 行くぞロリエル!」


 2人は悶絶する大天使ガブリエルの前を走り抜け最深部へと向かう。


 走る、走る、走る。

 走って走ってひたすら走る。


「うおぉぉぉマールー!」

「マールちゃーん!」



 衝撃——



「ぐあぁっ!」「きゃぁっ!」


 2人を見えない衝撃波が跳ね飛ばした。

 神聖樹目前で2人の前に立ちはだかるのはお察しの通り大天使長ミカエル。


 ミカエルはその光輝く翼を広げ、圧倒的な力を放つ。



「……ここまでです。アルビナの少女、


 そして悪魔の青年!!」



「なっ……」


「……え、あ、くま……?」


 ロリエルは立ち止まりフォルネウスを見上げる。

 フォルネウスは顔を歪ませ歯を食いしばった。


「神聖な聖域を汚すことは、この大天使長が許しません! 少々手荒にいかせていただきます。


 ——お覚悟をっ!」



 ◆◆◆◆◆

 次回に続く!!!!

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