67時限目【第2回夏休み緊急会議】

 

『……そうか。やはりアレが』


  『はい。今はフィルターの解除作業中です。少し時間はかかりそうですが。どうやら、ラジエルがあちらに寝返ったと見ます』


『言い訳はいい。その件は一任するが、出来る限り早い段階で白天使アルビナを確保せよ』


  『分かっております。必ず——』


『分かっておるなら結果を出せ。前回はたまたま予備が見つかったことで世界の崩壊を免れたのだからな? で、予備の方はどうなっているのだ?

 最悪の策として器のみを交換するのも考えておかねばならん。その為にあの2人を神の御身元に送ったのだからな? その子である器は、しっかり手懐けているだろうな?』


  『そちらは彼女に任せておけば問題はないかと』


『ガブリエルか。あの女は少々情に流されやすい。よく監視しておくのだな。

 魂納たまおさの儀までもはや猶予はないと思うがいい。邪魔が入るなら構わず……


 排除しろ、それが神の意思である』




 ◆◆◆◆◆

 天の川中等女子学院では至って平和な時が過ぎ今年も1学期が終わる。

 天使部の○○エル達は去年同様夏休みの計画を練る為、フォルネウスの部屋に集合するのであった!

 今回は空気状態で部屋の隅に追いやられたフォルネウス時点で彼女達を観察するぞ!

 ◆◆◆◆◆



「さぁ今年も夏休みが来たっすよ! 今年はマナちゃんも一緒に遊びまくるっす!」ぴょこん


「そ、それはいいのですが……マナちゃんはいいの……? 1年の友達とかは」プルプル


 クロエルが言うとマナエルは問題ありませんと即答する。今日もまつ毛は上向きである。


「それならマナエルも何をしたいか考えるの〜」


「ふーむ……夏休みにしたいことですか。少し考えてみます」


 マナエルはそう言ってお茶を一口飲み、いつもの謎通信を始める。いつも思うが、これは何の意味があるのだろうか。

 そんな思考を巡らせているとモコエルとロリエルがそれぞれの意見を出す。


「今年もプールとお祭りは決まりだよね〜」


「そうね、天使力ルミナス強化合宿もまたやりたいわ」


 合宿と聞いて1人プルプルしてるクロエルはさて置き、どうやらマナエルも何か思いついたようだ。


「自分が夏休みにしたいこと。そうだ、こんなのはどうでしょう?

 夏休みと言えば自由研究、しかしうちの学校にはそれがないので、えと、2人1組になって自由研究をして、最終日に発表したりはどうでしょう?」


「自由研究っすか。中々面白いっすね! でもどうやってチームを決めるっすか?」


「ふふ、それは勿論、ジャンケンで同じのを出した者同士ですね」


 マナエルは先輩達の目をそのパッチリとした大きな瞳で見据えた。その瞬間、何故か俺の背筋にチクリとした感覚が……む、虫にでも噛まれたか?


 マナエルの目力にやられ、先輩○○エル達は目をパチクリさせている。一瞬の間があいて、ふとガブリエル2世が口を開く。


「しょうがないの〜、なら皆んなでジャンケンをするの〜」


「い〜よ〜? 準備はいいかなぁ?」


 モコエルが皆んなを見ると、皆が首を縦に振る。

 マールの掛け声で一斉に手を出した天使部の○○エル達。


 グーチョキパー、一撃で綺麗に2人ずつ分かれた。それはそれで珍しいな。

 

 チーム分けは、

 マール、ガブリエル二世。

 クロエル、モコエル。


 そしてロリエルとマナエル。


「決まりましたね。……ロリエル先輩、頑張りましょう!」


 マナエルは何気に嬉しそうな顔だな。変わった子だけれど、意外と馴染みやすいのかもな。


「よ、宜しくねマナちゃん」


「大方は決まったっすね!予定の無い日はこのチームで自由研究をする感じでいくっす! 皆んな、それでいいっすか?」ぴょこん!


 部員達はそれぞれ首を縦に振った。よし、これで会議は終わりだな。サクッと出て行ってくれないかなぁ、たまには1人になりたいぜ。

 とはいえ、ロリエルとマールのことも気にしておかないと駄目だし、

 本当にこの2人が特別な力を持っているのか? 俺には普通の中学生にしか見えないが……



 何はともあれ、こうして2度目の夏休みが始まった。




 ⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎

 事件発生まで、あと、15日——

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