64時限目【ロリ×マナ】

 

 ◆◆◆◆◆

 本日も天界は晴天、雲一つない空の明るさが朝を告げる。ちらほらと登校中の○○エル達が見え始めるなか、商店街を1人歩く白き天使がいた。

 ロリエルである。

 どうやら今朝は心底機嫌が良さそうである。澄ました表情の奥に隠しきれていない喜びの笑みが浮かぶ。今日はそんな白天使ロリエルの登校に密着するぞ! いざ、ロリエル視点!

 ◆◆◆◆◆



 今日の私は機嫌が良いわ、何故なら、この金曜日を乗り越えた先に待ち構える土曜日に、天界初放映の劇場版デビレンジャー〜最強の漢達〜が劇場公開されるからよ!


 しかもそのチケットをネットで手に入れたの。

 通常価格の倍はしたけれど、それだけの価値がこのチケットにはあるわ。最近は部活で売り上げも右肩上がりだし、少しくらいいいよね。


 週末を想像してニヤケながら歩く。


「先輩? せーんーぱー……い? ……」


 ん? 誰か呼んだかしら? いえ、空耳よ。今は妄想タイムなの、何者にも邪魔はさせないわ。


「おはようございます、先輩? ……ふーむ、あ、通信が……そうです、こうすれば! えい」つんつん


「ひゃんっ!?」


 思わず犬の尻尾を踏んだ時に出そうな声をあげちゃった私は身体を震わせる。いきなり頬をツンツンするのは誰? まさか敵!?


「マ、マナちゃんっ!?」

 

「あ、やっと気付いてくれましたね? ロリエル先輩。いったい何を考えていたんですか? 相当良いお顔をしていましたけど」


 マナちゃんは迫力のあるまつ毛をパタパタさせる。風圧が……


「え……あ、いやその……何でもないよ? うん……」


「ふむ……何でもないのにあんな顔を……うーむ……」


「あ、だからその……」


 はぁ〜これじゃただの変態と勘違いされてしまう……


「しかしやっとですね……!」


 マナちゃんは興奮した面持ちで私を見つめる。勿論風が吹くようなまつ毛も羽ばたく。

 突然の言葉に首を傾げキョトンとする。


「何をキョトンとしているんですか? 明日ですよ、ほら、デビレンジャーの映画です」


「えっ! あ、そ、そういえばそうね?」


「自分、いつもロリエル先輩が熱く語っているのを見てデビレンジャー入門したんですっ! そして……」


 マナちゃんは鞄をガサゴソと漁る。中から雑に取り出されたのは明日の劇場版デビレンジャー〜最強の漢達〜のチケットだったわ。


 それを私に見せ、得意げに胸を張る。程よいサイズの胸は小さく揺れ、ついでにまつ毛も羽ばたいた。動く度に羽ばたく長いまつ毛、羨ましいな。


 それよりも、ここにも猛者がいたなんて。

 まさか予約殺到のチケットを手にする者がこんな身近に。あのマールちゃんも手に入れられなかったこの奇跡のチケットを! 私は手に入れたけど。


 ……この子、やるわね……!


 私は鞄のチャックを開けそこから丁寧に1枚の紙切れを取り出した。

 勿論、それは劇場版デビレンジャー〜最強の漢達〜のチケットよ。私はそれを後輩マナちゃんに見せつけこの上ないドヤ顔で胸を張ったわ。

 残念ながら揺れないんだけどね、ふん。


「流石先輩……! 抜かりないですね。あ、そうだ……これは運命だ……! 良ければ明日、一緒に観に行きませんか? 自分はまだまだ初心者故に少し心細いので」


 マナちゃんはデビモスグリーンの必殺技、毒モス爆弾のポーズで私を優雅に誘う!


 おっとこれは、説明が必要ね!

 毒モス爆弾とは、

 デビモスグリーンの必殺技で猛毒を仕込んだ手投げ爆弾を密室に投げ込み、出撃前の楽屋で敵の息の根を止めるチート技よ!


「ま、まぁいいわよ? 私がデビレンジャーの良さを教えてあげるわ! 付いて来なさい?」


 私は対抗してデビパープルの必殺技、悪魔ゆフラッシュを商店街の真ん中で完璧に決めたわ。


 こうして私達は明日、劇場版デビレンジャー〜最強の漢達〜を共に観ることを約束したの。

 明日が楽しみだわ。


 ◆◆◆◆◆

 授業中もうわの空のロリエルは帰宅後すぐにお風呂に入りルミナスドライヤーで白い艶やかな髪を乾かすとそのままベッドに飛び込んだ!

 とにかく早く明日が来いといつもより3時間以上早く眠りに付くのであった。

 次回! 劇場版デビレンジャー、最強の漢達!

 この次は神視点、2人の天使を追うぞ!

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