62時限目【モコエルの失踪】
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約束を違えたモコエルに下された判決は天使部の退部という彼女にとって最も残酷な判決だった!
桃色天使のテンションは極めて低い。お昼の時間も皆の話が全く入って来ない。退部を告げることが出来ないモコエルの精神が蝕まれていく。
引き続き神の視点で話を進めるぞ!
◆◆◆◆◆
「大丈夫っすか? 顔色が悪いっすよ?」
「ふぇ? そ、そうかな〜?」
マールは上の空なモコエルの顔を覗き込んだ。モコエルはというと、無理に笑顔で戯けてみせた。
そんなモコエルを心配していた担任フォルネウスは放課後彼女を呼び出した。
モコエルが倒れた日、メタトロンが言っていた。
モコエルは無理をしていると。
フォルネウスが塾は大変かと問いかけるとモコエルは首を横に振りそんなことはないと答える。
「何か悩み事があるんじゃないか? 最近のお前は……」
「だ、大丈夫ですよ〜、でも、今日は少し体調が良くないので〜部活はお休みしますね〜、それじゃあ先生、また明日です〜」
モコエルはそう言って逃げるように教室を後にした。
☆☆☆☆☆
それから1週間、
彼女が天使部に参加することはなかった。
心配した天使部のメンバーがモコエルを気にかけるが適当な理由ではぐらかされてしまう。
そんな日々が続き、モコエルの感情はついに爆発することとなる。
「モコちゃん……? 今日は部活に来れそうっすか?」ぴょこん
「……う〜ん、今日はちょっと……」
「な、何かあったんすか? 塾が忙しいっすか?」
「そ、そうじゃなくて〜……」
モコエルはずっと鞄に忍ばせていた封筒を取り出しマールに手渡した。
首を傾げるマールが言葉を発する前にモコエルは走り去った。
その内容を見たマールは驚いた。
それは退部届けだったのだ。
——
その日、部活では緊急会議が行われた。
マールが退部届けを皆に見せ何か思い当たる節がないかと問いかける。
「もしかしたら塾との両立が難しいのかな?」
ロリエルが言うと、
「だ、だとしてもそんないきなり……そ、相談くらいしてくれてもいいと思うんですがっ?」プルプル
「う〜んなの……辞めちゃうのは寂しいの。マール、何とかならないの〜?」
「拙者もモコちゃんが辞めちゃうのは寂しいっすよ……でも……」
マールはテーブルの上に置かれた退部届けを見て言葉に詰まる。
そんな天使部の姿をフォルネウスは部屋の隅で黙って見ている。
そんな悪魔にガブリエル2世が噛み付いた。
「フォルネウス〜! お前も顧問ならちゃんと考えるの〜っ! じゃないと噛み付くの!」
「ぬがぁっ! もう噛み付いとるではないかっ! ……考えると言ってもなぁ、退部届けまで出されちゃ……」ぴゅーっ
フォルネウスの言葉に天使部のメンバーは言葉を失ってしまう。そんな空気を切るように後輩天使マナエルが口を開く。
「それなら、直接本人に聞いてみては? 今からお家に突撃訪問……とか?」
「マナちゃん……そ、そうっすね! ちゃんと理由を聞かないと、部長として腑に落ちないっすよ!」
「それなら皆んなで行くの〜!」
「そうね、ならすぐに行動しないと」
こうして天使部メンバーは退部の理由を聞く為にモコエルの家へ向かうことに。
ガブリエル2世はフォルネウスを誘ったが仕事があるとフォルネウスはそれを断った。
☆☆☆☆☆
天使部一行はモコエルの家のチャイムを鳴らす。
するとモコ母が玄関を開けた。
マールがモコエルはいないかと問いかけるとモコ母は今日はまだ帰っていないと返す。
しかし既に夕刻、
あれから3時間以上、何処で何をしているのだろうか。モコ母は心配するマール達を見て、彼女達に先日あったことを話した。
「そ、そんな……駄目っす! 皆んな、すぐに探すっすよ! 探して、お父さんを皆んなで説得するっす!」
そう言って凄い勢いでマールは走っていく。
「なのっ!? ま、待つのマール〜!」
そんな部長のあとを必死に追いかけるメンバーはそれを見ていた誰かの視線に気付くことはなかった。
——
捜索開始から2時間、未だにモコエルが見つからない。商店街、天の川モール、良く行く場所は全て回ったがモコエルの姿は一向に見つからない。
「み、見つからないのですが!?」プルプル
「はぁ、はぁ……これだけ探していないなんて」
息を切らすロリエル。
「先輩……何処か、思い出の場所とか……?」
マナエルが小さな声で呟いた。
「思い出の場所……あ、まだ行ってない場所があるっす!」
マールが思い出したように言うと2年生メンバーが声を合わせて言った。
「「パワースポット!」」
確信なんてない。
だが、そこにいる気がして天使部一行は夜も遅いがパワースポットを目指す。
◆◆◆◆◆
遂に姿を眩ませたモコエル!
天使部の部員達は無事にモコエルを捜し出せるのか!?
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