61時限目【続・モコエルの憂鬱】
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何やら調子の悪いモコエル。そんな彼女の抱える憂鬱とは? 今回も神の視点で追ってみるぞ!
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(ほぇ〜)
「ん? どうしたんだいモコエル〜?」
「あんら〜ボーっとした顔もキュートなんだから〜、さすがはモコエル〜」
モコ父とモコ母は眠たそうな顔で夕飯を食べるモコエルに萌える。モコエルはふと我に返って、今日は食欲がないことを説明し自室へ。
これぞ女の子のお部屋といった部屋には勉強机とふかふかのベッドがある。
モコエルはフラフラとベッドにダイブ。
しようとしたが、
「はっ、だめだめ! 塾の宿題しなきゃね〜」
と、勉強机の椅子に腰掛け溜まった宿題を片付けていく。
そう、週2日は塾に通うモコエルだが塾の宿題はいつも夜遅くまでやっている。
天使部の活動もあり中々手に付かない。いつもギリギリで終わらせて再び塾で宿題を持って帰ってくる。そんな日々の繰り返しだが、モコエルはそれを苦痛だなんて思っていなかった。
部活のことも両親は承諾してくれている。勉強に差し支えがなければ、の話だが。
だがモコエルにとっては何よりも天使部の皆と過ごす放課後が楽しくて、その為ならと頑張る。
そんなある日、モコエルは宿題を忘れてしまった。塾の先生からはしっかり両親に報告され、その日は少しばかり荒れた夜となった。
普段は優しい父親だが、娘に対して過剰な期待を抱いている。その期待に応えようとモコエルは健気に頑張ってきたのだが、
次、同じようなことがあったら、部活は辞めてお勉強に専念すること、
その時に交わした父親との約束である。
「ふえぇ……お、終わったぁ。もう駄目〜」
モコエルは着替えることもせずにベッドに飛び込みそのまま朝まで目を覚ますことはなかった。
その時のモコエルの体温は39℃。桃色天使は完全に体調を崩してしまったようだ。
☆☆☆☆☆
そして翌朝、身体は怠くない。
ベッドのシーツは汗で濡れてしまったが体調はかなり回復したようだ。
学校でもしっかりと授業を受けることが出来た。
本日は塾の日。モコエルは皆にそれを告げる。
「モコちゃんまた明日っす! 塾、頑張るっす!」
「いってらっしゃいなの〜!」
仲間に見送られたモコエルは校舎を後にした。
塾は徒歩で15分ほどの場所にある。
そして塾のある小さな建物に入り上の階へ移動する転送装置に触れる。
3階に到着したモコエルは先生に挨拶をしていつもの席に座った。
授業が始まる。
「はい、それじゃあまず宿題を提出して下さい?」
先生が言うと生徒達は各々宿題に出されたプリントを提出していく。モコエルも鞄から大量のプリントを取り出し席を立とうした。が、
モコエルの動きが止まる。
(1枚白紙? あれ? あれれ〜? 何で……昨日確かに……)
「モコエルさん? 早く提出して下さい?」
「はう……ぅぅ……」
(ど、どうしよう……父さんと約束したのに)
モコエルの脳裏に天使部の皆の顔が浮かぶ。
(部活……辞めさせられちゃう……)
頭の中がぐちゃぐちゃになったモコエルに先生の声は届かない。
「せん、せ……ごめん、なさい」
突然泣き出したモコエルに生徒達は騒めき出す。
しかしここの塾の先生はとても厳しいと評判である。泣いても許してもらえる訳も無く、その日もしっかり両親へ報告が入ってしまうのだった。
帰り道、暗くなった天の川の街を萎れた桃色天使が力無く歩く。
(帰りたくないよ〜……)
とはいえ、帰らない訳にはいかない。
案の定、帰ると父がリビングにいた。いつもは優しい父も約束を違えた時はとても恐いのだ。
結局、散々怒られてしまったモコエルはしゅんとなり部屋へ。そんな姿をモコ母が少し心配そうに見ては声を漏らした。
「貴方……?」
「……約束は、約束だからね〜……」
口調は優しいが、考えを曲げる気は無さそうである。
その日モコエルは部屋で一晩中泣いた。
目は真っ赤に腫れて、可愛いお顔も涙やら鼻水やらで台無しになるくらい。
明日皆んなに何て言えばいいんだろう、
そんなことを考えると枯れかけた涙が再び溢れてきてしまう。
「辞めたくないよぅ……」
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