41時限目【特訓ならあの場所で】
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4組の担任、タブリスにサハクィエルを賭けた勝負をけしかけられ、あろうことかそれを受けて立った悪魔フォルネウス2世!
負けられない戦いに勝つには、まず天使達の力が必要である。フォルネウスはホームルームで教え子達にある提案をした!
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「体育祭まで既に1ヶ月を切っている。1組から3組は、かめさんチームだ。
で、相手の4組から6組がうさぎさんチームとなった。そこでなんだが、放課後に残れる人は皆んなで特訓をしようと思ってるんだ。とはいえ、皆んな用事もあるだろうし強制はしないが、どうだ?」
天使達が騒めき出した。やはり特訓なんてしたくはないかな?
「先生っ! やる気まんまんっすね! 拙者はいつでも空いてるっすよ!」
マールのリボンがぴょこぴょこ揺れる。さすがはマール、頼りになるぜ。
「仕方ないの〜、付き合ってあげるの〜!」
「しょうがないわね。出来るだけ付き合ってあげる。」
ガブリエル2世とロリエル、クロエルとモコエルも時間を作ると頷いた。これで天使部のメンバーは揃ったか。
「先生、特訓をするにしてもグラウンドは先輩達が占領してしまって場所が取れないのだが……その辺は何か考えが?」
黒髪ポニーのアルミサエルが俺に問題提示する。確かに、場所は確保しないとな。
特訓出来る種目は大縄跳びくらいだし。
「……場所か。確かにそうだな。街の公園はうさぎさんチームに先を越されたみたいで使えそうにないしな」
「そ、それじゃ……と、特訓、出来ないんじゃ」オロオロ
シャムシエルが言うとマールが立ち上がる。そして大きな赤いリボンを揺らしながら教壇の前へ立ち腰に手をあて言った!
「それならいい場所があるっす! ズバリ、パワースポットっす!」
教室は再び騒めき出す。パワースポット?
ふと天使部一行を見ると、何故か顔が青ざめているのだが、そこは触れないほうが良いかな?
「パワースポット? そんな所がこの街に?」
眼鏡っ娘天使マトリエルが言うと、マールは得意げに返事を返す。
「拙者よ秘密の場所っすけど、この際小さい事は言いっこなしっす!」
「あぁん、それならマールちゃんのいうパワースポットでいいんじゃないかしら?」
と、意外と乗り気のゼルエル。話しているだけで既に何故かエロい。コイツ、本当に中学生か?
「あたしは構わないけど〜? グフフ、だって縄跳びする必死なモコちゅあんを崇めるんだし? ムフ…フフ…ファンタスティック! バウンドキャニオン、ピーバァー!!」
おっと、サキエルが暴走寸前だ。
サキエルの不敵な笑みを見たモコエルのテンションが一気に下がったみたいだが、助けようがないので耐えてもらうしかあるまい。
すまんな、モコエル!!
「異議なしエル?」パチクリパチクリ
「異議なしエル!」パチクリパチクリ
双子の金色天使、ラミエルとレミエルも異論は無いようだ。
「あらら〜、そうと決まれば頑張らないとねっ!」
アラエルもやってくれるみたいだな。
「よっしゃ! 皆んな頑張って勝つぞー!」
カマエルはそう言って飛び跳ねたが、
ゴツン、
勢いあまって天井に頭を打ち付け、教室内は爆笑の渦に包まれた。照れ臭そうに頭をかくカマエルだが、これもカマエルのいいところだな。
「満場一致で可決っすね! それなら明日から夕陽の猛特訓を開始するっす!」
マールはクラス全員に宣言する。しかし、なんだ。夕陽の? ま、いいか。
いちいち突っ込むのも疲れたし、ツッコミは読者さんに任せよう。
「先生と〜サハクィエル先生の為に〜頑張るぞ〜!」
モコエル、珍しくいいテンションじゃないか。全力で叫んでるみたいだけど普通に緩いぞ。
あ、またツッコミを……
……って、あれ?
「何をキョトンとしてるのですかっ? せ、先生と黒マッチョがサハクィエル先生を賭けて勝負してることはもう学校中に広まってるんですが?」プルプルプルプル!!
な、なんですと〜!?
「先生のせっかく出来た彼女を奪われる訳にはいかないっす! また1人の寂しい生活に戻らないように、皆んなで2人の愛を守るっすよ! かめさんチーム、ファイト、おーっす!」
○○エル達は元気にその声に応えるのだった。
そしてホームルームを終え俺は廊下を歩いていた。すると校長が職員室からのっそりと出て来た。相変わらずデカい。そして頭にはバレバレのズラが乗っかっている。その髪の毛をいちいち気にしながら校長が言った。
「あら、フォルネウス先生っ! 貴方も中々の漢ね〜、やっぱり惚れ惚れしちゃうわぁ〜! 頑張ってね、私は貴方を応援するわ〜! ゴリマッチョより細マッチョ派なの、わ、た、し!」
「あ、そうすか……どうも」
暑苦しい校長を振り切ったフォルネウスは帰り際ににガブリエル2世が思い出したかのように噛み付いた指の治療の為、保健室へと向かった。
保健室のドアを開け中に入るとメタトロン先生がニヤニヤしながら座って待っていた。
「そろそろ来ると思っておったぞ? ほれほれ、早く座らんか色男よ」ニタァ〜
既に用意されていた椅子に座るよう促すメタトロン先生。俺はやれやれと椅子に座り、噛まれた指を先生に見せた。
「ほぅ、これはまた思いっ切りいかれたようだの。どれ、少し痛むぞ?」
傷口に薬を塗り込まれ思わず声をあげる。
「ほれ、男がギャーギャー騒ぐでない。そんな事では勝負に負けてしまうぞ? よし、これで後は包帯を、と」
先生は慣れた手つきで丁寧に包帯を巻き、その大きな翡翠色の瞳で俺を見上げてきた。
一瞬、視界が揺れた。
出血多量が効いているのかも……
「あ、ありがとうございます、というか、いつの間に勝負のことを?」
「そりゃ掲示板にあれだけデカいポスター貼り出しておったら広まるに決まっとるだろ?」
な、なんですと〜っ!?
「まぁ、なんだ、もし負けても……そ、その時は優しいお姉さんが慰めてやるからの。ふふ、それで私のことを好きになってはいかんからな? よいか? くれぐれも変な気は——」
そ、それは断じてありませんよ!
ロリトロン先生!
「……む……お前、傷口を開いて欲しいのか? こんなに可愛いシュシュまで日替わりでつけておるのに……失敬な奴だの」プィッ
あ、拗ねた。
「また人の心の中を読む。
というかそんなに拗ねなくても……えっとほら、何ていうかメタトロン先生はそりゃ小さくて可愛いと思いますよ? 小動物的で、ペットみたいだし、あ、そうそう! 抱っこした時の軽さには驚きましたよ。しかーし、俺は……サハクィエル先生一択なんで! 治療、いつもありがとうございます!」
「むぅ……男はやはりおっ○いがデカい方が好きなのかの。それはそうと……今夜は徹夜になりそうだの。ほれ、さっさと失せんか! 私は忙しいのだからな?」
小さな胸を気にするメタトロン先生のデスクには山のように積まれた資料が。いつも大変そうだな。
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なんと、サハクィエル先生を賭けた闘いがいつの間にか公になってしまっていた。
これは本当に負けられなくなったぞ!?
大丈夫なのか、フォルネウス2世よ!
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