39時限目【三者面談】

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 授業参観! 無事に授業をこなし何とか後半の三者面談まで漕ぎ着けたフォルネウス2世!

 大天使ガブリエルの甘噛みを受けた悪魔フォルネウスは無事にこの日を終える事が出来るのか!?

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 三者面談の順番は出席番号順で行われる。

 面談はスムーズに進みカマエルの面談まで終えた俺は1人教室で深呼吸をする。


 心をまるで静水の如く落ち着かせた俺はどうぞ、と次の人を呼ぶ。

 カマエルの次は、そう、ガブリエル2世の番だ。


 扉が開き再び俺の前に降臨した大天使ガブリエル、とその娘は用意された椅子に座る。

 大天使ガブリエルは小さくお辞儀をして宜しくお願い致します、と丁寧に言った。

 なんとも心地よい声だ。


「いえ、こちらこそ宜しくお願い致します。1年生の段階では進路などの折り入った話はないのですが、気になる事などあればこの機会に聞いて頂けたら幸いです」


「はい、宜しくお願い申し上げます」


 数分、問答を交わしている内に色々分かってきたことがある。


 大天使ガブリエル。

 彼女はやはり大天使として常に神事に追われる身で、中々娘と会える時間が作れていないこと、その為たまに会えるとつい甘やかしているのだろうと思わせる言動と2世を見る眼差し。


 そんな母親の前では可愛く大人しいガブリエル2世。


「ママ、フォルネウス……っ先生はとても優しいの〜!」キラキラ


「あらあら、この子ったら……先生、あまり迷惑はかけてないでしょうか? この子に限って、そんな事はないと思いますが」


 大天使ガブリエルは愛娘を見つめ優しく微笑みかけている。

 まさか毎日のように担任を保健室送りにしているとは思ってもいないだろう。


「そんなとんでもありません! ガブリエル2世ちゃんはとてもいい子ですよ!」


 心にもない言葉が口から漏れる。それを見るガブリエル2世の表情が非常に憎たらしい!


 我が子を溺愛してやまない大天使ガブリエルと悪魔のお世辞問答は数十分続き、ようやく終了の時間を迎えるのだった。


 ガブリエル2世は母親にべったりくっつきながら帰りに何か食べに行きたいと甘える。

 大天使ガブリエルはそんな愛娘に笑顔で頷き教室を後にするのであった。

 そりゃあの性格にもなるわな、とメモを残すフォルネウス。

 大天使ガブリエル、母としては赤点、と。


 その後は難なく面談を進め、最後のロリエルの面談も無事に終了した。


 ロリエルの保護者だが、今にも倒れそうな爺さん婆さんが親の代わりに出席していた。

 途中ゴホゴホと咳き込むばかりで殆ど話が出来なかったが、何はともあれ三者面談は終了した。


 職員室へ戻り席に座ると、すぐに走り書きのメモを取り出し成長記録をまとめたノートに追記した。


 隣の席ではサハクィエル先生が項垂れている。

 デスクに押し付けられる胸が異常な程のエロスを醸し出して正に眼福。

 疲れが癒される気分になるが、あまり凝視するのもなんなので天井を見上げた。


「はぁぅ、疲れましたぁ」


「お疲れ様ですサハクィエル先生。こっちも中々でしたよ……」


「でも偉いですねフォルネウス先生は。私はそんな元気ありませんよ」


 サハクィエルは俺のノートを覗き込む。豊満な胸がデスクに乗っかっている。


「偉いだなんて、そんな事ないですよ? 俺ってすぐ忘れてしまうからこうやって書いてないと」


 サハクィエル先生は妙にエロいですけどね!

 あー、乗ってる。巨大な球体が二つ、俺のデスクの上のノートに。


 それから数日間、そのノートからはサハクィエル先生の香りがするのであった。


 ☆☆☆☆☆



 生徒達と保護者が帰った後、廊下を歩いていると保健室から出て来るマールの姿を見つけた。

「マール、今日は何だ……残念、だったな。また機会があれば先生の方から一度会いに行くと伝えておいてくれないか?」


「……あっ先生っ! お疲れ様っす!」


 マールはやりきれないほど眩しい笑顔を見せる。

 そんな彼女の左腕が少し赤く腫れているように見えた。気になりその腕をとる。


「マール? その腕……」


「それじゃ、拙者は帰るっす!」


 そう言ってマールは目にも留まらぬ速さで廊下を走り抜けていってしまった。


 俺は少し気になり保健室の幼女に聞いてみる事にした。あれは、注射のあとだ。


「マールの腕? おお、少し採血をしてな。この前の身体測定でとったマールのデータに少し気になることがあっての。もう一度検査をしてみようと思ってな」


 今日も白い髪を日替りシュシュで結ったメタトロン先生は、そう言って棚の上の資料を取ろうと背伸びをする。


 俺はお目当であろうバインダーを取りメタトロン先生に渡してやる。


「むっ……べ、別に取れなかった訳ではないぞ?い、一応礼を言っておこう」


 ロリトロン、ではなく、メタトロン先生は頬を赤らめデスクに座る。


「ほれ、用が無いなら早く出て行かんか!」


 邪魔するのもなんなので俺は寮に帰ることにした。今日は疲れた。しかし、大天使ガブリエルのおかげで2世に噛まれずに済んだ。


 ◆◆◆◆◆

 ひとまずお疲れ様である!

 だがしかし、2学期は始まったばかりだ!

 これからもっと忙しくなるから覚悟せよ、フォルネウス2世よ!

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