35時限目【天使と浴衣】
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夏休みも残すところ後三日。
遂に、待ちに待った天の川タウンの一大イベント、天の川祭りが開催される! 仲良し天使部の5人はフォルネウスの部屋で浴衣に着替え、脱ぎっぱなしで部屋を後にするのであった!
今回も神視点で祭りを堪能するぞ!
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コンコン、とドアを叩く音。
「フォルネウス先生〜?」
ドアをノックする音に気付いた寝ぼけ眼の悪魔は慌てて玄関のドアを開けた。するとそこには浴衣姿の正天使サハクィエルいた。
これは、悪魔には刺激が強いだろう。
「あら? フォルネウス先生……部屋に女の子物の服が散らかっているように見えますが……」
「あーっと! すぐに着替えて来ますのでっ、お待ちを!」
フォルネウスはドアを閉めて部屋を見回す。
(あの○○エルども…っ! 何故ここで着替える! 更衣室があるだろが!)
フォルネウスはせっせと散らかった服を畳み部屋の隅へ。そして割れたガラスも手馴れた手つきで片付ける。もはや日常だ。
寝癖を直しこの日の為に奮発して買った浴衣に着替える。悪魔だが、これは中々似合っている。
黒ベースの落ち着いたイメージの浴衣を着て再び玄関のドアを開けると、
そこにいるのはやはり超絶美人天使である。
エメラルドグリーンの綺麗な髪を後ろで束ねいつもとは違う雰囲気のサハクィエルの浴衣は、髪に合わせた綺麗な碧と蒼の浴衣である。締め付けられた胸がいつもより強調されていてフォルネウスは目のやり場に困った。
そう、御察しの通りフォルネウスは完全にサハクィエルに惚れている。まさか自分が天使に恋をするとは思ってもいなかったフォルネウスだが、彼女の優しさにノックアウトされてしまったようだ。
当のサハクィエルはどう思っているのかは謎だが、2人で会うことも増えている。
2人は少しばかり人目を気にしながら学校を後にした。誰も2人で祭りに行くことをとやかく言う訳ではないが、まだまだ若い2人にとっては、やはり恥ずかしいものなのだろうか。
サハクィエルは今日も優しい笑顔でフォルネウスの後をついていく。
悪魔についていく、天使。
☆☆☆☆☆
一方こちらは○○エル達。
祭りは朝から大賑わいである。街の一大イベントだけあり、他の地域からも天使が集まっているのか、見慣れない顔も見受けられる。
そんな中、お馴染みの彼女達も。
アルミサエルとアラエル、それにカマエルが浴衣姿で店を見て回っているようだ。
相変わらず綺麗な黒髪のアルミサエルは浴衣も良く似合っている。アラエルはちょっと着崩れてるが全く気にしていないようでりんご飴なんか舐めて祭りを満喫している。
カマエルは丈の短い動きやすそうな浴衣であちこちを回り、屋台で色々買って来てはアルミサエル達に配りまくっている。キラキラと瞳を輝かせる構ってちゃんに2人は笑顔で対応する。
と、こちらは、シャムシエル家族。
母の手をしっかり握り人混みに押しつぶされそうになりながら歩く姿は何とも儚げだ。
控えめな性格のシャムシエルには少しばかり息苦しいようだがしかし、浴衣はしっかり着てくるあたりやはり女の子である。
一緒に来ていたのか、パチクリ姉妹ラミエルレミエルが合流する。2人は自分の顔より大きな綿あめを頬張りながら騒いでいる。お互いの親同士も仲が良さそうである。
サキエル、マトリエル、ゼルエルに至っては、祭りに興味がないのか見当たらない。
勿論、マール達天使部の5人は健在だ。
「よ〜し、あれを取るの〜!」パタパタ
ガブリエル2世が輪投げに挑戦しているようだ。
飛びながら狙うのは禁止だよー、と注意され、結局商品を取れなかった激おこガブリエルを宥めながら他を回る一行。ロリエルはちゃっかりデビパープルのお面まで買っている。
散々遊びすっかり夜になった頃、綺麗な夜空に大きな花火が上がった。
「はぁ〜綺麗っすね〜!」
「ほんとなの〜!」
紅白色の浴衣を着たマールと紫ベースの浴衣を着たガブリエル2世が、空に上がる花火を見て曇りのない瞳を輝かせている。
そこにかき氷を買いに行ってたクロエルとモコエルが帰って来た。それぞれ黒とピンクの浴衣が似合っている。
「そ、そういえばロリエルちゃんは?」プルプル
クロエルがロリエルの姿が見えない事に気付きマール達に問うと、
「ロリエルちゃんはお手洗いに行くって言ってたっすけど?」
「でも、確かにちょっと遅いの〜」
「おかしいね〜、もう少しだけ待ってみて帰って来ないようなら少し様子を見に行った方がいいかも知れないね〜」はむはむ
モコエルはかき氷を食べながら笑顔で頬に手をあてた。
「そうっすね。その時はここで待つ2人と、探しに行く2人に分かれるっす! 拙者と……」
「それならガブも行くの! 異論は認めないの!」
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こうしてマールとガブリエルはロリエルを捜しに行く事になったのだった。
デビパープルのお面をつけた白き天使を無事見つけ出すことが出来るのか!?
次回、事態が動き出す!?
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