34時限目【クロエル無双】
◆◆◆◆◆
肝試しトップバッターはクロエル!
残された天使達(悪魔)は、そんなクロエルを脅かすべく各自先回りして待つのであった!
クロエルの運命やいかに!?
◆◆◆◆◆
夜の階段に消えて行ったクロエルを見送り、残りの4人は不敵な笑みを浮かべながら階段の反対側へ移動する。そこにはもう一つ、獣道が存在するわけだ。
クスクスと笑いながらそれぞれ散開したマール、ガブリエル、ロリエル、モコエル。
そう、この肝試し……最初からクロエルを脅かす為だけに計画されていたのだ!
悪ふざけが過ぎると、心拍数が大変なことになるが大丈夫だろうか?
☆☆☆☆☆
夜の階段、そこは昼に来た時と全く雰囲気が違っていた。
そんな暗闇を1人歩くクロエル。
プルプルプルプル! 震えも止まらない。
クロエルの震えは何時もに増して激しい。キョロキョロと辺りを見ながら小さくなり階段を登るクロエル。その時——
ガサガサ!!
「ひぃっ!」プルプルプルプル!!!!
風が吹いただけでこの始末だ。と、安心したのも束の間、再び草木が揺れる!
ガサガサ! ガサァッ!!
「な〜の〜っ!」(バレバレでしょこれ)
お化けに扮したガブリエルがクロエルの前に飛び出した。
「きゃぁぁーっ! で、出たんですがぁっ!? あ、あっち行ってほしいんですがっ!!」
バシバシバシバシ!
(な、なななの〜っ!?)
クロエルの乱打で
「なーーーーーのーーーーっ!?」
——
「はっ! ガブリンがやられたっす!」
森に響くお化けの断末魔を聞いた残りのお化け達は、その壮絶な死に様に一瞬怯んだが、意を決してクロエルを脅かしにかかる!
お次はロリエルの番だ。
ロリエルはクロエルの通り過ぎたあと、背後からじりじりと詰め寄り、
「う〜ら〜め〜……」
びくっ!
過敏に反応したクロエルは即座に裏拳を繰り出した! 過敏に反応したクロエルの裏拳が、ロリエルの顔面を打ち抜いた! 過敏に反応し——
ドゴス!
(くはぁっ!? せ、正義の眉毛は……ふ、不滅なりっ!!)プスプス
お化けを倒したクロエルは全速力で走る。
(はぁっ、はぁっ早く終わらせて帰りたいぃっ!)
しかし、目の前にはモコお化けが!!
これは万事休すか?
「お〜ば〜け〜だ〜ぞ〜……ってあれれ〜?」
クロエルはそんなモコお化けを完全無視し、階段を駆け上がって行った。
(うぅ、やっぱり私には向いてないよね〜。わかってたつもりだけど〜)
——
残る砦はマールのみ。
天使部の皆は部長の勇姿に期待した。
しかしとんでもない速度で走り抜けるクロエルをどう止めたものか。もはやアレは一騎当千の戦国武将クラスである。
止める術など、ないっ!
ドドドド! 地響きが迫る。
「ど、どいてほしいのですがぁっ!!」
カキィーン! ピカァ!!!!
マール撃破!
敵将、討ち取ったりー!!!!
こうして城門を突破、——ではなく、階段をほぼ登り切ったクロエルは息を切らし恐る恐る小さな公園へ向かう。
「はぁはぁ……はぁっ……も、もういないようですが……あ、もう少しで到着……」プルプル
クロエルは震える身体を落ち着かせながら階段を登る。すると、
ギィィ……
……ギィィ……
(ブランコの音!?)
誰も居ないはずの公園でブランコが勝手に揺れている? いや、そんな筈はない、きっと風で揺れているだけだと頭を振るクロエル。
ギィィ……
……ギィィ……
クロエルは恐る恐る公園を覗き込んだ。
(……ひっ、人っ!?)プルプルプルプル!!
ギィィィィ……
……ギィィィィ……
人の形をした亡魂の亡者がブランコに乗って揺れている。
(も、もう嫌なんですがっ! ブランコ乗れと言われてもあんな禍々しいオーラを放つ亡霊が乗っていては乗れないのですがっ!?)プルプル!
クロエルは青ざめた顔で公園に背を向け全速力で走った! 怯えた犬の悲鳴に似た哀れな声をあげ途中取り残されたモコお化けを再び通過し、暫く走った所で足を引っかけ激しく階段を転がって、そのまま気絶して入り口へ排出された。
☆☆☆☆☆
少しやり過ぎたかと反省したマール達は気を失ったクロエルを皆んなでキャンプ場まで運び一息つくのであった。
ガブリエルの頬っぺはいつもよりパンパンに腫れ、ロリエルの右頰も同じく真っ赤に腫れている。
マールの頭には大きなタンコブ。
ただ1人、モコエルのみ無傷で済んだのだった。生還おめでとうございます。
(こ、これはこれで色々へこむな〜)
数分後、クロエルが目を覚ましたので何故全速力で帰って来たか尋ねたマール。すると、彼女は言った。
ブランコに亡霊がいた、と。
天使達は顔を見合わせて首を傾げる。
お化け役は4人だった筈……
4人の顔が青ざめる。
その夜、○○エル達は眠る事はなかった。
◆◆◆◆◆
寂れた公園のブランコに座り空を見上げる人物。
それは夜風に当たりに来た悪魔だということは誰も知らない。
◆◆◆◆◆
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