31時限目【恋する悪魔?】
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爆乳正天使サハクィエルの手を慌てて引くフォルネウス。息を切らしてついてくるサハクィエルに気付いたフォルネウス。
見つめ合う2人、まさか、フラグか!?
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先生の息遣いがやけに色っぽく見える。俺は一瞬胸を打たれるような、そんな感覚に苛まれた。
「すみません、体力なくて。ふぅ、はい落ち着きましたので行きましょう!」
何て健気な人なんだと心の中で思いながら、行きますか、と今度はゆっくり歩いた。
その後ろをテクテクとついてくる正天使サハクィエル先生。
悪魔についてく、天使。
それはさておき、暫く歩き到着したのは商店街の小さな花屋だった。色とりどりの花が所狭しと並ぶ店に入ると、店主が出てきて言った。
「お、サハクィエルちゃんか! 今日は何の用だい?」
花屋とは思えない強面の親父はやけに声がデカい。どちらかというと、魔界側のタイプだが、そんなことは言わない、否、言えない。
「あ、今日は花壇の花の肥料を買いに来たんです。在庫、ありますか?」
「あぁ、勿論あるぞ! いつサハクィエルちゃんが来ても大丈夫なようにしっかり常備してるから何でもいいな? お、それはそうと、兄さんあまり見ない顔だな? おおっ、おおおお! もしかしてっ!? サハクィエルちゃんの、か、彼氏かぁぁぁっ!!!!」
「え? いやその」
な、なんだこの圧はっ……!!!!
更に親父は続ける。
「そうかそうかぁ! サハクィエルちゃんも遂に彼氏が出来たかぁ! やぁめでたい! 兄さん、幸せにしてやってくれや! がっはっはっはっ!」
店主に背中をバシバシ叩かれた。痛い、痛いって親父さん!? ぐはっ
「……もう!」
サハクィエル先生は頬を赤らめた。
いやいや、そこは違いますって言う所だと思いますが? サハクィエル先生も何処か抜けてるよな。
「ほれ、これが肥料だっ! 今日は兄さんに免じて一本サービスしといてやる、持ってけ泥棒! がっはっはっはっ!」
それにしても、やけに耳に残る笑い声だ。
というか、肥料小っさ!
片手で持てる程の袋に詰め込まれたボトルタイプの肥料は一人でも余裕で持てる重さであった。
こ、これを持つ為について行きますよって完全にデートに誘う口実みたいじゃねーかっ! やっちまったぞ。
後ろには頬を赤らめ笑顔で付いてくるサハクィエル先生の姿。結局、そのあとは食材などの買い出しにも付き合い、いつの間にか暗くなりはじめていた。
俺はサハクィエル先生の家まで彼女を送り届け帰宅しようと踵を返した。
と、その時だった。
「フォルネウス先生? あの、良かったらお礼に夕飯をご馳走したいのですが。あの、先生のおかげでいっぱい買えましたし、その……迷惑じゃなければでいいのですが」
なっ!? サハクィエル先生の部屋にっ?
どうした、俺? 何をドキドキしている。
悪魔のエリートであるこの俺、フォルネウス2世がまさか天使の部屋に誘われて浮ついているだと?
あり得ない! 俺は悪魔!
「あの……やっぱり駄目ですか? フォルネウス先生いつもコンビニ弁当なので、気になってたのですが……」
気になっていた、だとぉ!?
俺みたいな悪魔を気遣うその眼差しは、正に天使……いやだが、しかし、俺はあくまで悪魔でサハクィエル先生は天使であって、決して相容れぬ存在同士なわけであってからにして、あぁ、しっかりしろ、悪魔フォルネウス! 俺は悪魔、サハクィエル先生の好意はありがたいが、
「フォルネウス先生? どうかされましたか?」
眩しいっ!! だがしかし、俺は!!!!
「お言葉に甘えさせていただきます!」
あ、言ってしまった。
アビス・フォルネウス2世、
俺は今まで恋愛など経験した事が無かった。
そんなことよりも、とにかく勉強して偉大な父、ラウル・フォルネウスに認められたい、ただそれだけを思って生きて来たのだ。
この淡い感情は、胸が熱くなるこの感覚は、まさか、これが、恋、なのかぁっ!?
だ、駄目だ駄目だ! 俺は悪魔なんだぞ? それを知ったら、サハクィエル先生がどう思うか……いや、それ以前に俺は何を浮ついている!
ただ夕飯に誘われただけではないか! それを勝手に深読みしてるだけだ、そう、それだけじゃないか。なんてことはない、このミッション、見事クリアしてみせよう!!
俺は未知の領域へ足を踏み入れることにした。
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やれやれ、フォルネウスも不器用な奴である。
これは完全にアレなのだが、素直に認められないようだ。
次回はサハクィエルの部屋での一幕。
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