23時限目【続々・迷子の○○エル】
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トラックに引っかかったガブリエルを救うため、手を伸ばしたロリエル! しかし、トラックが再び走り出したことでロリエルまでもが引っかかってしまった! なすがままに揺られるちびっ子天使2人の運命やいかに!?
今回は、おませでデビレンジャー好きな白天使、ロリエル視点で人間界サバイバルだ!
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荷台に引っかかった私達は、右に曲がれば左に、左に曲がれば右に、急発進すれば手前に揺られ、急ブレーキで後頭部を強打したわ。
なんて無様な姿をなんだろう、何とかしないと、本当に大変なことになる。
「はうっ!」「なのっ!」
散々振り回された挙句にトドメのドリフトカーブで2人仲良く振り落とされちゃった。
とりあえず周囲を見渡してみたけれど、大きな灰色の建物と、走る鉄の箱しか見えない。
「な、なの、ここ何処なの〜?」
「し、知らないわよ」
私とした事が。まさか自分まで引っかかってしまうなんて。とにかく来た方向に戻ろうとしたけれど、何度も曲がり角を曲がった所為で正解な方向が分からない。
ガブリエルちゃんはキョロキョロと不安そうな表情をしている。私がしっかりしないと。ガブリエルちゃんの手を握った。
「なの?」
「なのなの言ってないでとりあえずさっきの公園を探さなきゃ」
私がガブリエルちゃんの手を引き歩いていると何やら後ろから声が聞こえてきた。人の声だわ。
「お、おいあの女の子、背中に羽が生えてるぜ? 銀髪だし、天使の輪っかまでついてる!」
「コスプレイベントにでも出るのかな? え、てか浮いてね? あの女の子?」
2人組の男が、フワフワと浮くガブリエルちゃんを見ていた。私はガブリエルちゃんの
人間に視認された!
私はガブリエルちゃんを引きずるように走り路地に身を隠した。
ど、どうしよう。これじゃ迂闊に動けないよ。
路地裏に積まれた空箱に身を隠し何とか2人組をやり過ごしたわ。でも、ガブリエルちゃんは落ち着かない様子でキョロキョロとしている。
私はガブリエルちゃんの口を押さえ自分の天使衣で覆う。私達は小さい。1人分の天使衣に2人入ることも出来るわ。小さいは正義よ。
ガブリエルちゃんは少し驚いた表情で、
「ごめんなさいなの」と溢した。
「な、何よ。らしくないわね。とりあえずこれで安心だけど」
気丈に振る舞うけれど、内心は心底不安でいっぱいよ。このままじゃ動けないし。
徐々に日は落ち始め薄暗くなっていく路地裏。
こんな時にデビパープルがいてくれたら、眉毛で灯りをつけてくれるのに……
そんな事をひそかに考えてしまうほど不安は大きくなっていく。
「うぅ……なの、ぅっうぅ」
「ちょっと泣かないでよ……!」
泣きたいのはこっちだよバカ!
先生……
漢なら早く見つけてよ。
ヒーローみたいに、格好良く助けに来てよ。
◆◆◆◆◆
絶体絶命のロリエルとガブリエル2世!
ヒーローは遅れてやってくるとは言うが、フォルネウスよ、もはや猶予はないぞ!
次回、神の視点に戻り、人間界最終局面だ!
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