22時限目【続・迷子の○○エル】

 ◆◆◆◆◆

 天使の悪戯タイムも終わり、各班の成果を聞いて回っていたフォルネウスは異変に気付く。

 4班の報告だけがまだ上がっていないのだ。

 フォルネウスは4班を捜すことにした。

 今回も神の視点でお送りするぞー!

 ◆◆◆◆◆




 フォルネウスは集まった生徒達の話を聞きながら4班の居場所を探す。

 すると慌てた表情のカマエルとラミエルが文字通り飛んできたわけだが。


「先生っ! ガブリエルちゃんとロリエルちゃんがさっきからずっと見当たらないんだ!」


「もしかしたら迷子になったのかも知れないエル?」パチクリパチクリ


 フォルネウスは眩しさに目を細めたが、すぐに事の重大さに気付く。


「何だって!? いつからだっ?」


「それが、ちょっと分からなくて」


 カマエルはフォルネウスの声に驚き下を向いてしまった。いつも明るいカマエルは班長として責任を感じているようだ。


 フォルネウスは内心焦りまくっているが、そんなカマエルの頭を優しく撫でてやり、先生に任せとけ、と慰めた。


(しかし、こんな公園で迷子? まさか外に? いや、出るなと何度も念を押したし)


 しかし、ガブリエル2世がいる。


(ガブリエルならそれを守らず出て行ってもおかしくないぞ。それでロリエルが追いかけて……)


 フォルネウスの勘は完全に当たっている。


 しかし生徒を放置してここを離れる訳にもいかない。フォルネウスは頭を抱える。

 委員長のマールとクラスの皆も協力したが、2人が見つかることはなかった。


 フォルネウスはふとメタトロンの言葉を思い出す。


"何かあっては始末書じゃ済まんぞ"


 天使衣エンジェルローブを着用しているので、人間に見つかる事はないだろう。しかし、万が一のことがあっては困る。


 フォルネウスは覚悟を決めたように頷く。


 その時、公園に天扉ヘヴンズゲートが開いた。開いたと同時にメタトロンがこちら側へ渡ってくる。小さな身体であくびをしながら、少しばかり不機嫌な表情でメタトロンは言った。


「フォルネウスよ、時間が過ぎておるぞ? 迎えに来たからさっさと天界に」


 メタトロンが言い切る前にフォルネウスはメタトロンをひょいっと持ち上げた!


「ナ、ナイスタイミング! さすがはメタトロン様っ!」


「ちょ、な、何をするか持ち上げるでないわ!? ん、でもこの視界は中々見晴らしの良い、じゃなくて降ろさんかっ!」


 メタトロンは顔を真っ赤にしながら足をバタつかせる。フォルネウスは慌てて幼女を降ろした。


「あ、すみませんっ! ちょっと生徒達をお願いしますっ! すぐに戻ります!」


 フォルネウスはそれだけ告げてその場から走り去った。


「あ、ちょっと待たんかっ! はぁ、何があったのだ?」


 天使達は俯いてしまう。

 少しの沈黙のあと、マールがメタトロンに事情を話した。メタトロンの表情が明らかに曇る。


(あれ程気をつけろと……はぁ、仕方あるまい。とりあえず生徒達を天界に返さねば。フォルネウス、絶対に見つけて帰れ)


 

 ☆☆☆☆☆



 フォルネウスは全速力で走った。


「何処行っちまったんだ!?」


 公園の柵を飛び越えて外に出る。


 ◆◆◆◆◆

 メタトロンに生徒達を託したフォルネウスは、迷子の○○エル達を捜すため、単身、公園を飛び出した! 頑張れフォルネウス、今、頼れるのはお前だけなのだから!

 次回、ロリエル視点で人間界を彷徨う!?

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