17時限目【○○エル達の身体測定】

 ◆◆◆◆◆

 学生生活の1年間で最も女子に嫌われる行事、

 それが、身体測定である!

 そして遂に、その時がやって来てしまった!

 ◆◆◆◆◆


 


「それでは、ホームルームを終わる。あ、そうだ言い忘れていたが、明日は身体測定だ。体操服、忘れずに持ってくること」


 天使の担任になって早1ヶ月。何だかんだで上手くやれちゃう俺って。

 いったいこの天界ヘヴンズパスは誰の物なんだ。それに、俺の大事な魔界手帳エビルブックは何処に消えたのやら。

 あぁ、ため息しか出ない。


 天界パスは悪魔である事を隠すくらいの能力はあるみたいだが、周りの対応が明らかに不自然。

 暗示の類いか、それとも……くそっ。こうしている内にも、時間は刻一刻と過ぎていくというのに。


 しかし、考えていても仕方がない。

 部活に参加させられるのも疲れるし、保健室にでも行くか。我が憩いの場へ。噛まれたし。


 ☆☆☆☆☆


「全く、お前は本当に良く噛まれる奴だの? お陰で裁縫のスキルが上達したわ。ほれ、これで明日には傷は癒える」


 裁縫って、確かに縫われてはいるが。俺はぬいぐるみか何かか!


 メタトロン先生は俺の傷を特殊な糸で縫い合わせ残った糸を自らの歯で切ると器用に先を結びその上から包帯を巻いた。

 今回は腕なので背伸びの必要は無い。糸が身体に染み込んでいく感覚、これは何というか、ちょっとクセになる。


 何故だろうか、ここにいるとやけに落ち着くんだよな。あの、見た目幼女でありながら100歳オーバーの瞳を見ていると、うまく言い表せないが、何故か少しばかり落ち着くんだよな。

 まさか、これが歳上の魅力……あ、いや、でも、子供だしな、見た目。


「ほれ、何を呆けておる! 用が済んだらさっさと帰らんか。私は明日の身体測定の準備で忙しいんだ。しっしっ! あ、それと、あまり失礼なことを考えるでないぞ? 顔に出ておるからな」


 ロリトロン、じゃなくて、メタトロン先生は虫を追い払うように俺を追い出した。

 そして棚の上の資料に手を伸ばす。その様を少し観察してみた。


「ぬぅっ」プルプルプル!!

(……う……届かない……っしまったぁ! フォルネウスにでも取らせておけば良かったか……)


 俺が見ていることを知ってか知らずか、必死に背伸びをする先生。ちっこいな〜。


「くぅっ!」プルプルプルプルプルプル!!

(うぬぬ、棚め。この私を愚弄するか!)


 メタトロン先生、何を思ってるんだろう。凄い形相で棚を睨みつけているが。


「ふにゅぁぅっ」プルプルガクガク!!

(私が小さいから、届かないとでも言いたげだな! 棚よ、この私をあまり怒らせるものではないぞ?)


 俺には棚が勝ち誇った顔でメタトロン先生を見下しているように見えた。

 いや、飛べよ。羽、あるんでしょ?

 だが、飛ぶ事はメタトロン先生のプライドが許さないのだろうな。なんとなく、そう感じた。


「はい、コレですか?」


 俺は棚の上の資料を取り、先生に手渡した。メタトロン先生は一瞬目を丸くしたが、資料を手に取り言った。


「うむ、ご苦労。ほれ、さっさと消えんか!」


 素直じゃないな。顔、赤くしてるくせに。


「貴様傷を開かれたいか?」


「し、失礼しましたーー」



 

 ☆☆☆☆☆



 そして翌日、身体測定の日がやって来た。

 身体測定は昼休みの後に実施される事になっている。しかし何だ? 全員昼休みだというのに何も食べていない? これはどういう事だ?


 まさか、体重を気にしているのか?


 な、何と往生際の悪い。そんな事をしても大して変わらんだろうに。これだから女というのは。



 そして、身体測定が始まった。


 ◆◆◆◆◆

 往生際の悪い天使達に襲いくる脅威!

 次回、男子禁制のため、メタトロン視点での身体測定が始まる!!

 ○○エル達よ、諦めて測られるがいい!

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