ヤンデレ究極進化
佐里姉ちゃんを起こした後、直ぐに皆で食卓を囲んだ。
光はどうやら俺達が同衾した事に気づいていないらしい。気づいていたら確実に俺らを詰問しているだろうからな。
確かこの時間はいつもwebで講座をを受けていた気がするので、そのおかげだろう。
そう俺が回想している間にも、ガールズトークは随分と盛り上がっているようだ。
……これまた会話に入れないやつじゃん。
無性に父さんが恋しくなった。
丁度佐里姉ちゃんが来る日に休日出勤なんて父さんも俺もついてないな。
……まあ、どうやら今日は泊まるっぽいので、父さんも佐里姉ちゃんと話す機会はあるだろう。
……
黙々と食べ続けた。
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「ん?」
通知音が響く。
メッセージが来たようだ。差出人は麻紀。
「えーっと?……今すぐあの公園来て……って随分と急だな」
あの公園というのは、昔俺らがよく2人で遊んだ公園だろう。たまに光も加わってたので、3人の時もあったが。
一階のリビングに降り、まだガールズトークで盛り上がっていた3人に一声掛ける。
「ちょっと散歩行ってくるね」
なんだか直球で「麻紀に呼び出されてるから行くね」と言うのも変な勘繰りをされそうなので、嘘をつく事にした。
「あ!じゃあ私も散歩行く!」
「私も!」
………やべえ。
そうか、そういう流れになるのか。
光と佐里姉ちゃんが同行したいと言う可能性を一切考えてなかった。
「光は勉強でしょ!」
「もーやだ………」
光……どれだけ講座サボってたんだよ……。
「じゃあ佐里ちゃんと散歩行って来なさい」
こう母さんに言われたら一緒に行く以外の選択肢は無い。
断るのも不自然だしな。
後で二人きりになった時に佐里姉ちゃんに事情を話して帰ってもらうしかなさそうだ。
公園への道すがら。
「佐里姉ちゃん……その、実は俺、今から幼馴染の女の子に会いに行くんだ」
「え?そうだったの?」
心底驚いたように目を丸くする佐里姉ちゃん。
「うん……だから、あまりついてきて欲しくないんだ」
「……」
……なんか沈黙が重い。
「その女の子とは付き合ってるの?」
「いや、そういう訳じゃないけど……」
「じゃあ別に私が付いていっても良くない?それとも私がいると出来ないようなやましい事でもするの?」
「ま、まさか!」
「じゃあオールオッケーだね!」
「……うん」
上手く言いくるめられてしまった。そもそも、バリバリのキャリアウーマンに舌戦で勝とうなんて事が無謀だったんだな。
そう自分に言い聞かせるも、状況は変わる事はない。
……絶対面倒な事になるよな。
そうこうしているうちに目的地に着いてしまった。
……もう腹括るしかなさそうだ。
「待ち合わせ場所はここかぁ」
この公園はだだっ広いのもあるが、木々や雑草が一面に生えていたり、その影響からか影になる場所が大量にあるので、まさしく隠れんぼの鬼キラーと言える。
「……なんか、男女の密会……というか青姦にはぴったりな公園だね」
……唐突なドギツい下ネタに動揺してしまった俺は悪くない。
「佐里姉ちゃん……あんまそう言う事言わないでよ……」
「あー!顔真っ赤!」
そう言って俺の頬に両手を当てる佐里姉ちゃん。
彼女の手はひんやりしていて気持ち良い。
俺はおもむろに彼女に視線を合わせる。
するとにこっとはにかんだ佐里姉ちゃん。
その笑顔は眩し過ぎて、可愛すぎて。
つい目を逸らし──
「健人」
そこには、右手に何か尖ったものを持った麻紀がいた。
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あとがき
今回は次話の導入みたいになっちゃったので少し短めです。
許して下さい、なんでもしますから。(なんでもするとは言ってない)
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