いとこの姉ちゃん
「明日佐里ちゃんうちくるって」
「え?まじ?」
「ほんと?」
食卓を囲んでいる最中、思わぬ知らせを受け、俺と光は少なからず驚いた。
……それにしても久しぶりだな。
佐里さんは24歳ながらバリバリのキャリアウーマンとして活躍していると聞いている。その為、最近はうちに訪れる機会が減ってしまっていた。
彼女が学生の頃は家が近い事もあってか、昔はまだ小さかった俺や光とよく遊んでくれていたので、なんだかんだ来てくれるのは嬉しい。
「健人、明日駅まで佐里ちゃんを迎えに行ってくれない?」
「私も行く!」
「光はおうちで勉強でしょ」
「……むぅ」
最近、光はネットで高校の講座を受け始めたのだ。……が、どうやらサボっているらしい。母さんが光を迎えに行かせないのもなんら不思議は無い。
……どうやら俺1人で佐里さんを迎えに行かなければならないらしい。
久しぶりに会うからか、少し緊張してしまうな。
「健人!」
「うわっ!」
スマホをいじって駅で彼女を待っていたのだが、悪戯好きの彼女に驚かされてしまった。
「佐里さん、お久しぶりです」
清楚を思わせる艶のある黒髪と裏腹に、元気いっぱいの溌剌とした女性。変わらず魅力的な女性だ。
……が、どうやら今は溌剌としているとは言い難い。
「……昔みたいに佐里姉ちゃんって呼んでよぉ」
心底悲しげに目を伏せる佐里さん。
どうやら俺が他人行儀な呼び方をしているのが嫌なようだ。
……仕方ない。
「佐里姉……ちゃん」
……思った以上に恥ずかしいな、これ。
俺が羞恥に悶えているのを横目に、佐里姉ちゃんは嬉しそうに頬を綻ばせていた。
「ありがと!……じゃあ行こっか?」
おもむろに手を繋いできた佐里姉ちゃん。
「恥ずかしいんだけど……」
「いーのいーの!」
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「佐里ちゃん久しぶりねぇ!」
「お久しぶりです!」
「佐里姉ちゃん髪型変えた?」
「ばれた?ロングにしてみたの!」
家に着いた途端、母さんと光に質問攻めにあっている佐理姉ちゃん。
まあ、ほんとに久しぶりだからこうなるよな。
「佐里ちゃん……最近男の子とかはいるの?」
……なんか恋愛方面になってきたな。
話に入れそうにないため、俺は部屋に戻る事にした。
部屋に入った勢いでベッドに倒れ込む。
……眠いな。
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……あー、ぼーっとする。
……なにも考えられない。
……なにも考えられないって考えてるな。
……もうわけわからん。
なんとなく自分が寝落ちした事は理解していたが、いかんせん頭が働かない。もう全てどうでも良くなって、寝返りを打つと──
「うぉ!」
愛らしい顔で惰眠を貪る佐里姉ちゃんがいた。
「………ん、健人、おはよー」
「いやいやいや、もろ夕方ですって!」
時計の針は6を指していた。
「てかなんで俺のベッドで寝てるんすか!」
「叔母さんに健人を起こすように頼まれて……部屋に行ったら健人が寝てて……寝顔見てたら私も眠くなっちゃったの……」
まだ意識が鮮明になってないのか、言葉に締まりがない。
俺はと言うと、佐里姉ちゃんのせいでバッチリ覚醒してしまった。
……てか母さん中々佐里姉ちゃんが俺の部屋から帰ってこないのおかしいって思わなかったのかよ。
……ワンチャン部屋の中確認された上で黙認された説はあるな。
……いや、まあ良いんだけど。……うん、光が暴走しないかだけが不安だ。
「てか早く起きてよ」
佐里姉ちゃんの体をぶんぶん揺するが全く効果なし。
「後5分だけ……」
「それ朝のテンプレのやつだから!早く起きてよ!」
結局、5分経っても彼女が起きる事は無かった。
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後書
我誠小説投稿遅刻。誠申訳無候。
今回話次話布石有。電波少女食付所有。
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