光とのデート


昼休みの麻紀との件の後、恙無く学校は終了した。


「ただいまー」


「お兄ちゃんお帰り!」


光が甘えるように俺の胸にグリグリと頭を擦り付ける。


完全に飼い主を出迎える犬だな。


「相変わらず光は甘えん坊だな」


「お兄ちゃん限定だけどね」


嬉しい事を言ってくれる。お兄ちゃん冥利に尽きるな。


なんて考えてると、光は俺の顔を覗き込んできた。何か言いたいことでもあるのだろうか。


「ねぇ、この後暇?」


「おう。暇だけど?」 


「じゃあ一緒に買い物デートしない?服とか買いに行きたいんだ」


「デートという名の荷物持ちだろ?」


「むぅ……いじわる……」


頬を膨らませて不満気にこちらを見る光。


仕草一つ一つどれをとっても可愛い。


「嘘だよ。じゃあ一緒に買い物行くか」


「お兄ちゃんとデート♪お兄ちゃんとデート♪」


学校終わりなので、俺自身あまり外出に乗り気ではないが、光の喜びようを見ていると外出するのもやぶさかでは無くなってしまった。


つくづく妹に甘いやつだな、俺は。


なんて自嘲している合間にも、光は準備が出来たようだ。


「お兄ちゃん行こー?」


「もう準備出来たのか?」


「お兄ちゃんが帰ってくる前から準備してたのだ!」


「まじか。じゃあちょっくら着替えてくるから待っててくれ」


「了解であります!」



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「久しぶりに2人で来たな、ここのショッピングモール」


「そだね!超久しぶり!」


俺達は今、駅前に隣接しているショッピングモールに来ている。


駅前ということもあり、かなりの人がごった返しているのだが……


「光、腕を組むのは勘弁してくれ」


「嫌ですぅー」


視線を感じる。流石にこんな中を腕を組んで歩くのはかなり恥ずかしい。


しかし光は俺の腕を離すつもりは無いらしく、むしろ腕の締め付けが強くなった。


しかし、それによって新たな問題が発生した。


「……光、当たってるぞ」


「こういう時は当ててるんだよ?が正解かな」


……恥ずかしすぎる。


「やめてくれよ、俺ら兄妹だろ?」


照れ隠しも含めてそう言ってしまったのが間違いだった。


「……お兄ちゃん、兄妹として見て欲しくないから恥ずかしいけど必死にアプローチしてるのに……それはちょっと酷いよ」


無言で俺から距離を取り、みるみる顔を暗くしていく光。


やってしまった。普通の兄妹なら、俺の受け答えは模範解答なのだろうが、俺達の間柄ではそうではない。むしろ彼女を傷つける結果になる。


「……そうだよな。すまん。今のは失言だった」


俺が謝罪をしても一向に光の顔が明るくならない。


……今回は俺の落ち度でもある。恥ずかしいが行動で示すしか無さそうだ。


俺は光の手を取り指を絡ませた。


俗に言う恋人繋ぎである。


「え!?お、お兄ちゃん!ど、どういう事?」


どうやら急に恋人繋ぎをした俺に困惑しているようだ。


そんな光を尻目に俺は訳を話す。


「……つまりだな。さっきは兄妹と言ったが……こんぐらいするのはやぶさかではないというか……まあ、そういう事だ。」


「……」


俺の返答に驚いて固まってしまった光。


……反応されないと物凄く恥ずかしいのだが。


と心の中で抗議していると、やっとこそ光が口を開いた。


「……つまり、つまりだよ?お兄ちゃんは私の事……意識してくれてるってこと……?」


光は俺に確認するように首をかしげた。


「そりゃ、告白されちゃ多少はな……」


そう俺が言うと光は大きく目を見開いた。


そして、


「……嬉しい。嬉しくて死んじゃいそう……」


そう言って涙目になりながらも俺に微笑みかけた。


「……ッ!」


……不覚にもその微笑みにドキドキさせられてしまった事は光には内緒だ。


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すっかり機嫌を取り戻した光と服や家電などを周り終わる頃には、すっかり日も暮れていた。


「光、もう母さんと父さん帰ってくるって連絡あったし、俺らも帰るか」


「ちぇー、もっとデートしたかったんだけどなー」


と口では言っているが、どこか満足気な光。


楽しめたなら何よりだな。







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