2ndドS
帰りのホームルームも恙なく終わり、帰宅部の俺としてはすぐさま帰る……といきたい所だが、生憎と今日は生徒会の仕事がある。
とてつもなく憂鬱である。
だからと言って、一応会計に立候補したのは事実だから文句も言ってられない。
渋々ながらも生徒会室の扉を開ける。
「失礼します」
「あら。仕事もまともにできないクズで無能の健人くんじゃない」
約三ヶ月前に、自らの性悪さを前面に打ち出していくスタイル(無論俺のみ)に方向転換した生徒会長の島崎麻里亜が囀る。
元々口が悪いといえば悪かったが、ここまでじゃ無かった。
……どうしてこうなったんだ、本当に。
「健人君、こんにちは」
「悠理さん、こんにちは」
てか副会長も居たならさっきの暴言諌めて下さいよ。
俺は罵られて気持ち良くなれる性癖は持ち合わせていないんだ!
と、心の中で悪態をつきながらも、会長を全力無視するファインプレー。
「何よ、私にあいさつは無いの?クズで無能な健人君」
今までなら先輩という事もあって愛想笑いしていたが、今日の俺は違う!
「………」
迫真のガン無視!
まだ他のメンバーは来てないようだな。さっさと仕事して帰ろう。
体育祭が近づいているため、会計も何かと仕事が多い。
うちの高校は10月下旬と開催時期が遅いのが特徴だ。
それに加えて普段の各部活の横領が無いか予算と道具を照らし合わせる作業もあるので中々大変である。
なんて考えてると、急に胸倉を掴まれた。
「ちょっと!麻里亜ちゃん!それは駄目だよ!」
流石に見過ごせないのか悠里さんが注意する。
「こいつが私を無視するのが悪いのよ!」
たまらず麻里亜も反論する。
……なんだかんだ暴力を受けたのは初だな。遂に精神攻撃から肉体攻撃にシフトしたか。
「麻里亜ちゃん駄目だよ!そんな事したら嫌われちゃうよ!」
「ッ!」
胸倉を掴む力が弱まったので、麻里亜の手を俺の手で振り払う。
流石の俺も怒ったぞ。
「会長。流石に暴力を振るうのは失望しました。もう仕事の時以外に俺に金輪際関わらないでください」
そう言って俺は生徒会室を出る。
廊下を大股で数歩歩いた後で、ふと気づく。
……しまった。まだ仕事に欠片も手つけてない。
颯爽と出た後に気付くとは。なかなか締まらないな。
勢いで出てきてしまったが、今から戻るのも少し気まずい。
幸い明日に回しても大丈夫な仕事だったため、今日は帰ることにした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます