第5話 久しぶりの喧嘩

「せいやぁ!」


 ゲーセン内で複数対1人。明らかに1人の方が不利なはずだが。


「おいお前ら何してる!早くぶっ殺せ!」

 

 開人は1人で、圧倒していた。


「か、開人くん………強い」

「あいつ、地元にいる時は天才肌っていうのかな、それをさらけ出してたんだ」

「あ、常幸くん。背中は痛みませんか?」

「大丈夫大丈夫。あいつ、本当はその気になれば出来ないことなんてないじゃないかってくるい何でも出来たんだ。まぁ、昔ちょっと色々会って俺の進学に合わせて一緒に引っ越してきたんだけど」

「色々?」

「まぁ、それは追々開人に聞いてくれ」

「ハッ!」


 開人は平手のみで攻撃していた。一度たりとも拳を握らず、手刀で急所をうち、手を刺すように腹部を打っていた。


「ど、どうなっていやがる」

「あいつの昔の趣味でな、あいつ世間でよく知られる武術や誰も知らないようなマニアックな武術を複数覚えてんだ」

「ふ、複数とはどのくらい?」

「さぁ?しらないが、俺が知ってるだけだと柔道、空手、剣道、相撲、合気道、なぎなた、銃剣道、弓道は全部やってる」

「す、相撲や銃剣道まで?」

「まぁ、あいつが今使ってるのどれでもねえけど」

「え?」


 そうこうしてるうちに、力男を除いて全員が倒れていた。


(………やばいな。久しぶり過ぎて、体中痛い。帰ったら反動で動けないな)

「く、クソガァ!」


 力男は図体とは裏腹に、とんでもない瞬発力で一気に近づき、開人に近づく。


「な!あぶっ」


 ミシミシ体中の骨が悲鳴を鳴らせながらアクロで避けると、力男は勢いのままクレーンゲームを掴み、握り壊した。


「ご、ゴリラかよ!」

(弁償、どうするんでしょう)


 常幸は当然ながら光景に驚いているが、華鈴は見慣れたような反応をしてる。


「たく………バトル漫画じゃねえんだよ。………喧嘩は今回限りだ!」


 一気に間合いに入り、力男の腕を掴む。


(背負い投げか、だが俺には効かん!)


 開人は両手で………力男を持ち上げた。


「………なにぃいい!?」


 20cm以上身長差がある………というより、それ以前に体格にかなりの差がある力男を持ち上げた。

 どこからどう見てもそんな筋肉などないのにだ。


「あいつ、解放極拳使ってるな」

「か、解放極拳?」

「人間って、潜在能力を10%しか出せないらしいじゃん」

「あ、はい。アインシュタインによる説やグリア細胞説などありますね」

「………詳しいね。で、あいつの解放極拳はまぁ、簡単な話潜在能力を無理やり引き出す拳法」

「す、すごい(これ一応ラブコメなんですけどね)」

「まぁ………ある程度鍛えてないと、どっかしら骨折するらしいけどな」


 大笑いしながら常幸は言う。こうも軽々しく重大なことを言われるとじゃあ、平気なんだなと思うが………


「開人くんはじゃあ、鍛えてるから平気ってことですか?」

「いんや?。あいつ、引っ越してきてからサボってるぞ」

「え?」


 いつの間にか力男が倒れいるが、そんなことより………


「………左腕の骨、折れた」

「ほらな」

「びょ………病院行きますよ!?」

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