うどんで世界は救われますか?

@kansasfromscratch

第1話 始まりはうどん屋から

鰹のいい匂いがする

三日ほど何も与えられなかった腹の虫は怒っているらしい

鈍くだかよく響く催促の音を出した

匂いのする店へおぼつかない足取りで行く

そこにはうどん屋があった、他に客は居ないすぐにでも飯にありつけそうだ

「すみませーん、うどん1つ!」

店員の女は俺の格好を見ると目を細めた

「なに、あんた冷やかしかい?」

「いや、客だよ金だってちゃんと持ってる」袋を目の前で振ってみせると女は厨房へ消えていった

久々の食事に心を踊らせ待っていると、女がうどんを運んできた、受け取り食べようとすると女が隣に座る、客が居なくて暇なのか

それともサービスのつもりなのか

「そうも見られると食べずらい、サービスのつもりなら少し離れてくれ」

女は離れず、俺の顔色をうかがっているようだった

「ウチのうどんを食べるのは、あんたが初めてだから感想を聞こうと思って」

「そいつは光栄だね、でもどうやらこのうどんは食べられそうにない」

唖然としている女を突き飛ばしうどんを放り投げ、構える、前から来る黒い塊を抱き上げ

思いっきり地面に叩きつける、地面が少し揺れ鈍い音が、村に響く

音に驚いて、集まってくる村人たち、未だに唖然としている女をよそに、僕はうどんを放り投げたことを腹の虫に怒られるのだった

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