第3話

俺はエリスと握手を交わしたあと、取り敢えず近くの街に案内してもらいながら、ふと疑問に思ったことを聞いてみた


「なぁ、エリス」


「はい?」


上目遣いできいてくる。意図してやっているんじゃないと思うが――うっ、かわいいぃ

いかん、見蕩れてる場合じゃない


「なんであんなに凄い魔法が使えるのに、最初からあれを使わなかったんだ?」


すると彼女は、少し考えるように


「あの、実は初めてだったんです。あんな威力の魔法、自分でもビックリしてます。」


「本当に初めてだったのか?」


気になったので聞いてみる。

すると、急に神妙な顔をして、


「わかりません。

実は私、幼い頃の記憶が無いんです。」


「出身地も、両親の顔も。

思い出そうとすると、頭が痛くなります。」


少し震え、こめかみを押さえながらそう答える。


「大丈夫か?・・

悪ぃ、変なこと聞いちまったな」


「い、いえっ大丈夫です。」


彼女は強がるように、そう言った。

もう詮索して欲しくなさそうだ。

俺もそこまで無神経な男でない。


「そういや、ここ日本語通じるのか?」


これも健介が聞いてみたかったことの1つである。異世界なのにエリスと日本語で会話が出来たからだ。

するとエリスはきょとんとし、


「ニホンゴ?なんですかそれ。」


「いやいやっ普通に話してるじゃん。日本語」


もしかして、これ日本語じゃないのか?

でも俺日本語話してるよな?


「何言ってるんですか?私達アイリム語で話してますよね?」


やっぱり日本語じゃなかったのか。

勝手に変換してくれるのかな?

まぁ話が通じてラッキーだったな。

エリスには適当にごまかすか。


「あ、あぁそうだったな。アイリム語アイリム語」


違う話をしよう(焦)


すると話を変えるようにエリスが、


「そういえばさっきオーガから逃げ回っているとき、体から出ていた妙な光は何だったんですか?」


おそらく魔族収集を使っているとでるんだろう。

俺は気づかなかったが。

あまり人に言っていい気になるようなスキルじゃないから適当に誤魔化しておこっ


「あぁ、、多分あのオーガが俺を標的にしたから出た光とかなんじゃないか?」


「そうなんですかねぇ?」


「そうそうっ今向かってる街ってどんな感じなんだ?」


「そうですねぇ、、、別に普通だと思います。、、、あっでもアルミナ様という女神が居るんですけど、その女神様を崇めるアルミナ教の信者がとても多く、ちょっと怖いです」


ア、アルミナだと!?俺になんかよくわからんゴミスキルを私情で授けたあのクズ女神じゃねぇか!なんか急に行きたくなくなったんだけど。

健介はその話を聞くと、露骨に嫌そうな顔をしていた。


「だ、大丈夫ですからっ!別にそこまで酷いわけじゃないですよ?」


エリスは、必死に弁明した。


「そうか、、、そうだよな!」

――別にあのクズ女神がいる訳でもないし


「いやー街が楽しみだぜっ、、、多分」


エリスの金色の瞳と目を合わせながら会話する。


「ていうかエリス可愛いな〜」


エリスもそのアルミナ教を信仰してるのか?


「―――――っ//////」


あれ?なんで悶えてるのこの子かわいい

――――あぁっ!セリフと心の声が逆になってしまった!

や、やべぇ怒られる


「ご、ごめんな?俺、結構思ったことそのまま口で出してしまうんだよ」


「ううぅぅ//////」


また可愛く悶えたエリス。

――またなんか言ったっけ?俺。

あ、思ったことそのまま口に出してしまうって遠回しに可愛いって言ってるようなものじゃんか!やっべ初対面の子に、、恥ずか死ぬ

てかこの状況、、、どうしようマジ照れるんだけど、、、


そのまま2人は真っ赤な顔を下に向け、5分くらい無言で歩き続けた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る