珍兵器歓談(リアル編)・ホ301機関砲(2)
APIブローバックのAPIは、アドバンスド・プライマー・イグニッションの頭文字。発射の反動で後退した遊底が、バネで前進する途中に次の弾の薬莢に点火。その反動で、前進する遊底の運動エネルギーを相殺するので、反動も軽くなり、銃(砲)が軽くできる(もしくは強力な弾を使用できる)そうです。
これがエリコン社の特許だったりしたら、勝手に使ってエリコン社からクレームが来たりしなかったのだろうかとも思いましたが、最近出版されました『日本陸軍航空武器』を見ますと、第一次世界大戦中にこの方式を発明したのはドイツのベッカー社で、ドイツ敗戦後そのパテントを引き継いだスイスの会社が倒産、さらにそれを引き継いだのがエリコン社なんですね。
そういえば丸メカニックでの説明文に、『ベッカーアクションを採用し』とありました。最初に立ち戻れとはよく言ったものです(少し違う)。
そして敗戦後のドイツから戦勝国として日本陸軍はベッカー社の20ミリ機関砲を取得、テストしているのですね。その後同方式の機関砲を試作したりもしているので、それを発展させたものであれば問題にはならなかったのでしょう。
陸軍も、巨人爆撃機92式重爆の銃座用にエリコン社のAL機関砲をベースにした94式旋回機関砲を採用していますので、そちらのパテントも購入している訳です。実際にパテント侵害が無かったかどうかは分かりませんが。
『日本陸軍航空武器』によりますと、本機関砲はB-17対策の一環として、37ミリ機関砲ホ203などと共に開発されたそうです。
本機関砲も『鐘馗』に装備され、防空戦闘に使われました。しかし初速が遅く、弾道の落下が早い、いわゆるションベン弾になる事、発射速度(弾を発射する間隔)も遅く、弾倉にも9発しか装填できないこともあって戦闘は困難だったようです。
相当接近し、僅かな射撃機会をとらえなければ命中弾を得るのは無理でした。他方、その炸薬量の多さから、命中すれば威力は大きく、上防良太郎大尉のようにB-29を撃墜した例もあります。
しかし全般的には評価は低く、『夜間戦闘機なら使えるかもしれぬ』だったそうです。
続きます。
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