珍兵器歓談(リアル編)

珍兵器歓談(リアル編)・ホ301機関砲(1)

 こちらは妄想ではなく実在した珍兵器についておしゃべりしたいと思います。

 ホ301機関砲。自動砲とも、墳進機関砲とも表現されます。取説などを見た事が無いので、どの表現が正しいのか分かりません。戦後的表現でしょうが、ロケット機関砲とも言いますね。


 この機関砲は口径40ミリ、日本の航空機関砲ではかなりな大口径です。

 これを装備して実戦投入したのは実質、二式単座戦闘機『鐘馗』のみ。私がこの砲の存在を知ったのも、子供の頃から家にあった丸メカニックの鐘馗が初めてでした。

 その説明文が微妙にとっ散らかっていて、子供の頃には良く分かりませんでした。何なら最初はその上に載っていたホ103機関砲と混同していた気がします。

 が、どの時点だったか、「この砲面白くない?」などと思うようになりました。


 この機関砲が特殊なのは、薬莢に装填した火薬で弾を打ち出す通常の機関砲と異なり、弾の後半に燃焼剤が装填され、底部の穴からガスを噴出して自らを打ち出すという点です。これにより薬莢排出機構が省略でき、砲が軽量化できたとの事。

 その仕組み故に墳進機関砲などとも呼ばれるし、実際日本軍が用いた墳進砲弾と構造は似ているのですが、燃焼剤は砲弾が銃内部にある内に燃焼を終えるので、墳進砲弾ではないという意見もあります。


 この砲は萱場製作所の萱場社長が発案したものを陸軍の航空技術研究所・第三研究所、岡本中佐が実用化したものだそうで、APIブローバック方式という構造を採用しています。これはエリコン社のFF20ミリ機関砲と同じ。戦闘機用の固定機関砲は海軍が採用していますが、陸軍では使っていませんね。川崎のキ60はこれを使用する予定だったのではないかとも言われていますが。


 ちなみに萱場製作所といいますと、カヤバのガスショックで一部方面におなじみKYBの前身であります。この頃には航空機関係にも進出、脚部の緩衝装置という納得の製品だけでなく、無尾翼機の開発なども行っていました。機関砲とは意外ですが、バネと筒という機関砲の構造がサスペンションと似ていなくも……ない?かな?


 続きます。

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