第121.5話 拝啓先生様 若い竜たちはクスリをキメて幸せになっているアホのようです

 親愛なる莨谷たばこだに颯太そうた様へ


 ヌイです。まずは映像をご覧ください。


「俺たちの勝利に~~~~~」

「乾杯ァ~~~~~~イ↑↑↑↑」

「今夜は祝勝会だあ~~~~~~~~」

「上げていこうぜ~~~~~Hooooooo↑↑↑↑↑↑↑」


 ごらんください。ヌイが潜入して撮影した竜族のキャンプです。奴らは捕まえた人間どもを使って生活基盤を整え、更に


「キメていこう!」

「Yeah!!」

「ヤッていこう!」

「Yeah!!」


 麻薬・・が流行しています。

 これは我々がマイタ村で生産した大麻、阿片、モルヒネが流通していると見て間違いないでしょう。

 ただ、我々が白竜に卸している量からすればやや多すぎますし、潜入して味を見・・・てきたところ、先生の薬よりも質が劣るものも混じっているようです。

 おそらく奴隷を使って麻薬の密造をしたり、先生が麻薬を売った他の人間たち・・・・・・から転売してもらった可能性があります。


「しかしよぉ~あの阿片って上物は少なくて困るな……」

「人間どもから買い付けてるんだろ?」

「もっと欲しいよなあ」


 そしてここからがヌイの最も報告したい大事件なのですが……。


ぶんどって・・・・・こようぜ・・・・!」

「それだ!」

「天才」

「この惑星を救う逸材あらわる」

「いつだって人族は俺たちに恵みを与えてくれる」

「良い奴らだよなあ……ニンゲン」

「食べて美味い、奴隷にしても便利、ペットってのもありだ」

「ハマる奴が居るのも分かるわ」

「ホムカーと違って使い道が多いもんな!」

「お前らなんか勘違いしているけどホムカーもお嫁さんになるんだよなあ」

「死ね変態」


 ごらんください。麻薬でラリった竜族の若い兵士がすごい勢いで居留地を飛び出して人類の住んでいる領域に散っていきました。

 勿論ですがヌイには止められません。というか、脱走兵が出た混乱に乗じてさっさとアヤヒお姉ちゃんの村に逃げ帰ろうと思います。白竜さんがそれとなくかばってくれているとはいえ、潜入活動とは怪しまれる前に切り上げるのが定石ですので……。

 あっ、あとアスギお母さんにもよろしくお伝えください。

 またあの麦粥キュケオーンが食べたいです、と。


               あなたの可愛い教え子かつ忠実な間諜 ヌイより

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