第121話 美女に挟まれてスーパーロボットに乗るとか男の夢だよな!!!!
軍議の後、
「一体どうした」
サンジェルマンが遺して、聖女が押収した
「先生、
「ええ、まあ……俺たち二人だけでは動かせるかどうか……」
開発者のサンジェルマンが居れば問題は無いのだが、聖女と
「三人目はあの
「は? アスギは戦いは……」
「先生、嘘はよくありません。あの身のこなし、細く見えるだけで化け物じみた筋量ですよ。私もそこそこ鍛えたつもりでしたが……正直負けるかも、と」
「……あー、まあ、そうだな。それはそうかもしれないが」
無論、この世界に来てから
それはそれとして、戦力としてサンジェルマン相手に肉薄したことも知っていた。
――あいつが居れば保険としては有用か。
――有用、だが。だがなあ……連れて行きたくはない。連れて行っても何一つ良いことがない。
「ベッドでは案外たおやかだとでも?」
「聖女様さぁ、そういう生々しいのは良くないよ?」
――たおやかとは程遠いわ。
と思ったのだがそこは黙っておくことにした。
「失敬、大事な相手であれ、今能力のあるものは必要とされています。先生が乗り気ではない理由をお聞かせいただいところですが」
「性格が戦い向きじゃない。良くも悪くも防衛しかできないし、彼女にとっての防衛対象ってのは娘たちしか存在しない。俺ですら……いやさすがに俺のことは守るか……だがなあ」
「エネルギーの供給だけでも肩代わりしてくれれば私が楽です。先生は魔法が使えないので」
「悪かったな魔法使えなくて。俺ってば君みたいなチート転生者じゃないの、扇動と科学知識と健康な体しかないの」
「ふふっ、お可愛い。チートな家柄だけでしたら分けてあげてもいいですよ?」
「考えておいてやるよ――じゃなくてな、そう、そもそもお前アスギと仲悪いだろ」
「別に先生がこの町にいらしてからの半年近く会話がないだけですが」
「仲悪いじゃねえか。森臭いとか言ってたの別に聞き流したワケじゃないからな」
そう言われると、聖女は罰が悪そうにコホンと咳払いをした。
「ともあれ、彼女は連れていきます。他に適任者が居ませんから。信頼できる部下を市街地の防衛に回しておきたいのです」
「まあそれは正論だが……ううん」
「お気に入りの相手こそ、決戦となったら手元に置いておきたいのでは?」
「……それは、ある、あるが、もっと良いパイロットが居るだろ。要は魔力タンクが居れば良いんだろ?」
「一体誰を連れてくるつもりだ」
「この地を治めていた男爵様の一人娘だよ」
「先生」
聖女は
「先生……それは、子供を巻き込むつもりですか?」
「人間の子供を巻き込むつもりですか? と聞いたらどうだ? それに巻き込むという意味ではもう遅い。俺たちはあの少女を散々政治利用した」
「それはそうですね。それに、彼女が自ら父の仇を討ったとなれば宰相もお喜びになるかと」
「後もう一つ、いざ戦いが始まれば安全な場所などないよ。あの娘をドサクサに紛れて殺されでもしてみろ、俺たちの責任問題だ。その点アスギは放っておいても最悪全員殴り倒して逃げられる。お前の子飼いの部下が暗殺に来てもな」
「流石にそこまではやりませんよ。先生に嫌われちゃうでしょ」
「お前に理性が残ってて安心したよ」
「そんなことよりも、男爵の娘と私と先生の三人ともがもし死んだらどうするつもりですか」
――女神を呼ぶか。
とは思っていたがそれは言わず、
「俺が守るよ」
と、まあ、そうされると、彼女はそれ以上文句が言えなくなってしまう。
*
「――で、取り戻せるんですか? その、いこーるどらごんなんたら?」
軍議を終えた後、
「
「え?」
「宛先の違う手紙を一人で五枚くらい書いてもらって、それで一杯にした郵便
「無視するのでは……?」
「
「あっ、ソウタさん……
「けど、今はそれが役に立つ。良いな?」
「はい。ただ――その作戦が間に合うのでしょうか」
「既に交渉そのものは行われている。邪魔も入ってはいるが……必要なのはひと押しだ。ここを守りきれば……」
「守りきれば?」
横たわる
「国を割れる」
アスギに見えない
「国を……割る?」
「人間以外の種族による独立自尊に必要なのは統一国家じゃない。小国の乱立と緊張状態だ」
「そうしたら、アヤヒたちは学校……に行けるのでしょうか」
「行ける国が生まれる。そこから十年、二十年、まあいけるはずだ」
――現実的にはアヤヒの次の世代あたりからだが。
――いけるはずだ。豊かな資源とアヤヒのような人間の学問を修めた
「じゃあ……何人死んでも良い……良いんですか……?」
「そう、それでいい」
「良いわけないでしょう」
「…………」
「良いわけないでしょう……?」
「でも、俺についてきてくれるな……」
アスギは黙り込む。
「……はい」
か細い声で答えた。
「ごめんね、アスギさん。助けてくれたあんたに、こんなことしかできなくて」
「いいえ、私こそ。私がもっとしっかりしていれば……そう思います。アヤヒみたいに賢かったらなにか違ったんでしょうか?」
――正直、だいぶ違う。
と思ったがそれを言わない分別は颯太にもあった。
「そうは思わないけどな。今も十分助けられてるしさ」
「けど、足りません。私からすれば足りないんです。だから私にできることは……何でも言ってください。たとえば――」
くたりと力を抜いて横たわったアスギの目と、寝転がっていた颯太の目が合った。
アスギは
「アスギさん、一つ頼みたいことがある」
彼もその実現は正直難しいかもしれないと思っていた。
だが意外なほど簡単に、彼女はその提案に同意した。
「私は、ソウタさんのお力になれるなら……良いんです」
と、彼女は儚げに微笑んだ。
「アスギ……お前は……」
彼が言いかけた時、二人の枕元の
映像魔術による連絡だった。
差出人はヌイだ。
今、彼女は
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