現実j-3
「多分、アーマゲドンオンラインの情報か単語を聞くことだ。俺は先月から雑誌で見てたし、妹もしきりに話してた」
「私と来栖は部員が話してたのを聞いてたわ。多分、先月の頭くらいに。でもニジエは?」
「優さんはアーマゲドンオンラインの開発者だ。ニジエは完成直後から話を優さんに聞かされていたはずだ」
ここに来て情報が揃ってしまった。予想通りなら鈴木先輩は2度と夢の世界には来れないだろう。
「なんだかオカルトじみた話になってきたわね。そもそもそんな手段があるとして、ゲーム如き広げる理由は何?」
オカルトとと聞いて思い出す。優さんはオカルトかぶれだったはずだ。そしてオカルトは科学の一部のように言っていた。しかし、それでもまだ疑問が残る。新堂と同じでそこまでしてゲームを広める理由はなんだ? 確か募金できるサイトが会ったからその為に? いやいや、そんな洗脳じみた手段があるなら課金要素や広告入れても効果あるだろう。その方が莫大な金になるに違いない。理由はなんなんだ? 新堂がスマホを出す。
「私、試しに始めてみるわ。何これ? スマホアプリランキング1位じゃない。ダウンロードしてっと、この、汝、自らを贄とならんやってとこに名前を入力するわけ?」
直感が大警告を鳴らす。
「待て新堂、絶対にそれは名前打ち込んじゃダメだ!」
いつの間にか4つの弁当を平らげた来栖先輩と、コロッケ蕎麦をすする柊が驚く。
「何、大声で、なんか心当たりあるの?」
「夢の世界で魔術師の婆さんに言われたんだ。自分から署名するとそれは自分の意思を他人に委ねることになるって」
「ああ、確かに俺ら護符作って貰う時に聞いたじゃん」
「だから、もしオカルトじみた何かが働いてたらそれに名前を自分で打ち込むと何か起こるかも知れない」
「なら、来栖、私のスマホのこの欄に私の名前を打ち込んで」
来栖先輩は新堂からスマホを受け取ると名前を打ち込んでいるようだ。
「なんだこりゃ? 『エラー、自分の名前を打ち込んで下さい』だってよ」
「なにそれ? アプリに本人認証機能でもついてるの? 陽菜アンタのスマホ出して」
「やめてくれ、この前ぶっ倒れそうになったの見たろ。今なら間違いなく吐くぞ」
「多分平気よ。私がアンタの名前をいれるんだもの。指紋認証機能とかついてない?」
「ついてない機種だけど、もし吐いたらお前片付けろよ」
「予想通りなら多分平気よ」
俺はスマホのパターンロックを外すと新堂に手渡す。アーマゲドンオンラインはこの前ダウンロードしてあるから、後は名前とメールアドレスを入力するだけだ。新堂はなんてことも無いように俺の名前を入力する。
「やっぱりエラーが出るわね。陽菜、学生証出して。漢字が間違ったのかも」
俺が学生証を出すと新堂がそれを見ながら入力する。
「ダメだわどうやってるのか分からないけど、本人以外エラーが出るみたい」
良かったあの頭痛も吐き気もない。その後も柊や来栖先輩を試してもダメだった。4人で交換しながら自分以外の名前を打ち込むが、ことごとくエラーが出る。
「これ、どうやって識別してるんだ? 絶対本人以外できないじゃん」
残る最後の方法を試すことにする。何故か俺達と距離をとり談笑している悠紀夫とノリの元に行く。
「すまん、悠紀夫でもノリでも構わないから、ちょっとアーマゲドンオンラインやらせてくれないか?」
悠紀夫が答える。
「別にいいぞ。もうレベル50超えてるし、まずここら辺じゃ死なないから」
悠紀夫のスマホを受け取るとねじれ曲がった紫の森で黒い甲冑姿のキャラが剣を構えてる。
「ドラッグで移動でタップすると攻撃、これが基本動作だ。簡単だろ」
確かに簡単だ。だがキャラの上にはよく分からない文字が浮かんでる。
「ああ、簡単だな。ところでこの文字は何かな?」
「陽、ボケたのか船坂悠紀夫って書いてあるじゃないか」
え? この模様だか文字だか分からないものが読めるのか? 俺はノリにその画面を見せる。
「なんだよ。ちゃんと日本語で名前書いてあるだけだよ」
これが日本語? 俺は悠紀夫のスマホを持って3人の元に駆け寄る。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます