夢h-3
「ニジエ、今のどれくらい行けそう?」
「それがほとんど消耗してないんで、かえって分からいんです。本当はあんなに粘着力強くした覚えないんですが」
そう言えば、あの婆さん増幅の紋様も入ってるっていってたな。こりゃ菓子折りの1つも持っていかないとな。
「この調子なら20本くらい楽勝じゃん」
「調査の件もあるからある程度余裕を持って進もうニジエ、水筒は?」
「ご心配なく。マンダリーノのジュースは詰めてありますから」
どうやら先に着いた時にマスターに頼んでいたようだ。これなら集中力切れは心配ないだろう。その後も何度もオーガに遭遇したが、その度、あっさりと仕留める。この感じなら2匹相手にしても問題無さそうだ。おしゃべりする余裕すらある。
「そう言えばニジエは今日、現実で何かあったの? いつもの場所に来なかったけど」
「それが兄さんに絶対家から出ないように言われて、出れなかったんです。何か危険なことありましたか?」
「いや、カップルばかりで平和なもんだよ」
「香苗さんの件といい、恋人達に何かあったんですかね?」
「それは解らないな。柊はどうだった?」
「本条先輩がやたらきつかった。アレ、フラれた腹いせじゃん。挙句に武道に女は不要とか言ってたし」
どの口でいうんだか。まあ、あの背中を見たら解らなくもないが。しかし、ニジエに何か危険があったのか? 優さんのやる事には謎が多い気がする。アーマゲドンオンラインといい、今度会ったらさりげなく尋ねてみるか。
森の奥に進むとスワンプトロールの出た沼に着いた。警戒を強めるが今日は出ないようだ。レンズ越しに沼を見つめるニジエも水におかしな動きは無いと言う。個人的にはアイツはボーナス扱いな気がして、いなくて残念だ。ここまでおかしなことは無い。更に奥に進むことにする。
「ここから先は俺達は未到達だ。みんな警戒を強めて欲しい。特にニジエは消耗は大丈夫か?」
「問題ありません。まだジュースもほとんど口を付けてませんし。レンズは見るだけで消耗しませんから」
「今の俺達、無敵じゃん。このままガンガンいこうぜ」
柊も乗り気だ。確かにこれなら問題は無いだろう。ここからは調査をメインに進むとしよう。オーガは探さなくてもそこらじゅうにいるしな。案外マスターのとりこし苦労かも知れない。確かに森のモンスターは凶暴性を増してる気がするがその程度だ。森を抜けたら帰路に着こう。もうオーガの角も13本集まっている。帰り道に出会う分を考えたら充分だろう。
「ちょっと待ってください」
ニジエの待ったが入る。何か見つけたのだろうか?
「なんだかこの先に大きな館? 城? みたいなものがあります。その部分だけ水が遮られているんです」
おかしいな。マスターはそんな物があるなんて一言も言ってなかったぞ。これはビンゴかもしれない。
「なら、今日はそこを調査して帰ろう」
「おっ、これでボーナス確定じゃん」
柊は嬉しそうだ。とはいえ謎の建物か。気を引き締めないとな。ニジエの指示の元言われた先には苔だらけで蔦が纏わり付いた小さな古城があった。城壁を見る限りもう何百年と放置されているようで荒れ放題だ。堀は無く、城門は崩れかけている。こんな大きな物、マスターなら把握してそうだが。少し中を確認するか。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます