第8話 パーティー当日
ラビリンス国は明日のパーティーのためにバタバタしている。
エシスは家臣たちのために荷物運びをしている。
「エシス様!貴方様が荷物運びなんてしてはなりません。お休みになっていて下さい」
「お前たちが必死こいて働いているのに、国王である俺が休んでいられる訳にはいかない。少しぐらい手伝わせてくれ」
「今朝渡した仕事は?」
ラリエレは荷物を持って歩いてくる。
「もう終わったに決まってるだろ?」
「早すぎませんか?」
「普通だろ?早くしないと明日のパーティーに間に合わないだろ?」
エシスは荷物を置いて違うところに向かう。
「エシス様、やけに張り切っていらっしゃいますね」
「そうね。でもいい事じゃないかしら?あんなに元気な陛下、久しぶりに見ましたわ」
ラリエレは笑って言う。
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そして、パーティー当日に何とか間に合い、無事パーティーは開かれた。エリサナ国も参加させる事にした。
「エシス様。パーティーに参加させてもらえて嬉しく思います」
エリサナ国の国王はエシスに一礼する。
「こちらこそ、参加してもらえて嬉しく思います」
二人は軽くあいさつをして離れる。エシスはハーマントの傍による。そして小声で話をする。
「ファリルはまだ来ていないのか?」
「もう時期到着致しますので、落ち着いて下さい」
エシスはまだかまだかとオロオロする。エシスはファリルが喜んでくれるように彼が好きな青色の服を着ている。少し露室が気になるが、ファリルを待ち続ける。
そうこうしているうちに、ファリルが到着する。
「やっと着いた」
「ファリル!」
ファリルの姿が見え、エシスは走って行く。そして、手を掴み自室へ連行。
「陛下ッ!」
「すみませんが、お話しがあるようなので」
追いかけようとするヘリサナをハーマントは止める。
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部屋にファリルを押し入れ、扉の鍵を閉める。
「急にどうしたの?…ッ!」
ファリルが振り向くと、エシスは彼の胸に顔を埋める。腰に腕を回され動くことが出来ない。ファリルは何も言わず、頭を撫でる。
「ファリル、俺…」
「何?」
ファリルは優しく聞く。
「気持ち悪くなるかもしれないが、聞いて欲しい」
エシスは意を決して心に閉じ込めていた思いを告げる。
「俺は、お前のことが好きだ。どんな事をしても、この思いだけは変えられなかった。あんたが政略結婚をするって聞いて、おめでとうって気持ちと失恋したっていう気持ちでいっぱいになっていた。あの時あんたに抱かれた時内心嬉しかった。でも、この気持ちは閉まっておこうと思った。墓場まで持っていくつもりでいた。でもあんたの妹のヘリサナさんに言われてこの思いを告げることにした。嫌だったらすぐに帰ってくれ」
一気に話したエシスは胸のところが軽くなった気がした。
ファリルは息を吐く。その仕草に、エシスはビクッと体が跳ねる。
「それ、告白だって受け取っていいかい?」
エシスは頷く。
「最初は俺が言いたかったな」
「え?」
エシスは顔を上げる。ファリルは愛する人を見るような眼差しでエシスを見つめる。
エシスはまさかっと思い、顔が真っ赤になる。
「まさか、お前の好きな人って!」
「エシス、お前だよ」
彼は上機嫌でエシスに口付けをする。二人は幸せな時間を過ごした。
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