第5話 届け物
彼女が出ていき、一人ファリルは自分が犯した罪を悔やむ。そして、そのままベットに倒れる。すると、頭に何かが当たる。
「なんだこれ?」
手に取って見てみる。それはロケットペンダント。だが、それはファリルには知らないもの。確か遠い国でよくあるやつ。なのだろうか?
「これどうなってるんだ?開きそうなんだけどな…」
ファリルは力一杯で開けようとする。そして、カチッと音がして蓋が開く。中にあるものを見て、ファリルは驚く。
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屋敷に戻ったエシス達は各自の場所に戻る。身体をふらつかせながらベットに倒れ込む。そこで胸に着けていたロケットペンダントが無いことに気がつく。焦りの不安で周りを探す。馬車の中で落としたかもしれないと覗くが、どこにも無い。そこでファリルの国フロウブレン国で落としたことに気がつく。今晩はエシスは眠れなくなった。
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フロウブレン国ではヘリサナが貿易の荷物をまとめている。
「ヘリサナ…!」
「兄…じゃなくて陛下、何用で」
「今からラビリンス国へ向かうのか?」
「左様ですが」
「すまないがエシス国王陛下にこれを届けてくれないかい?昨日忘れていったみたいなのだ」
ファリルはロケットペンダントをヘリサナに渡す。彼女はそれを受け取る。
「了解いたしました。それでは行ってまいります」
ヘリサナは一礼して青馬に跨り、物資を運び出す。ファリルは街に散歩に出かけようとしても良かったが、ヘリサナの言うことに従うことにする。部屋に戻り、書類を片付けて行く。
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馬車を引き、周りを警戒しながらラビリンス国に到着。そこではメイドのラリエレが待っている。
「遅くなり申し訳ございません。頼まれていた貿易の荷物をお持ち致しました」
「長旅ご苦労様です。貿易の物はこちらにお願いします」
「ありがとうございます。お前たち、荷物を下ろしておけ!」
「了解です!」
「そういえばラリエレ様、エシス様にお会いしたいのですが、よろしいでしょうか?」
申し訳なさそうに、ヘリサナは言う。
「エシス様にですか?では中にどうぞ。召使いのハーマントと相談します」
「ありがとうございます」
ヘリサナは一礼をして宮殿の中に入らせてもらう。
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しばらく待ってると、エシスの専属召使いハーマントが現れる。
「お待たせ致しました!エシス様についてなんですが、今誰ともお会いしたくないと言われたまして…」
「そうですか…実を言うと我が国王がエシス様に大変失礼な事をしてしまい、謝罪しに来たのですが」
「そうでありますか。それは御足労おかけ致しました。しかしながらお会いにさせる訳には行きません。貴女様をお怪我させる訳にはなりませんので」
ハーマントは申し訳なさそうに謝る。
「何かあったのですか?」
「実はと言うと、昨日から大切にしていたロケットペンダントを無くされていてから暴れるようになり誰も近づけずにいるのです」
「もしかして、こちらの物でしょうか?」
ヘリサナはファリルから受け取ったペンダントを見せる。それを見た二人は驚く。
「まさか、中を見ましたか?」
「いいえ?私は知りませぬが、陛下が見たかどうかですがね」
ヘリサナは笑って言う。
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