第12話
私は頭を両手で抱え、うずくまる。
激しい頭痛は、この陽射しの強さと暑さのせい。そう言い聞かせる。思い込む。
それにしても本当に暑い。現実は厳しい。この頭痛の痛みは尋常じゃない。喉が渇いて体も痛み始めた。
何か飲み物買いに行こう。私はギュっと目を閉じ気合いを入れる。立ち上がると頭に激痛が走った。立ち眩む。でも行こう。行かなくちゃ。
公園を出て、重い体を引きずるように歩く。コンビニ、自販機でもいい。何か飲みたい。どうかしてる、気分も悪くなってきた。
思い出す、あの男。世話好きで不思議なあの男。笑顔もおまけに思い出す。部屋の鍵は開いている。そこでまた水分を補おう。そうしよう。あの優しい笑顔なら、きっと何でも許してくれる。そんな気がした。今の私に良心はない。
目の前のマンション。敷地に入った。眩暈が私を襲う。
そこまでは、覚えていた。
私は目を開ける。意識はぼんやりしていた。白い天上と、柔らかな白い照明が見える。白い、女の人?私に近付いてきた。
「気付きましたか?」
「え…?」
誰?ここどこ?
「あの…。」
「ここは病院ですよ。安心してください。」
よくわからないけど、優しい女性。まだ聞きたいことがあるのに、去ってゆく。
「あ、
「ありがとう。」
聞こえてきた声。どこかで聞いたことがある。それに『新井』って。その『新井』という人物が現れ、私は目を疑った。
「おう、気付いたか。よかった。」
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