第11話 メンタル病むわぁ
七代の指示で部下の隊員が無抵抗ロボットを数体、多魔世の前に運んで来た。
ロボットと言うには余りにも精巧で、ラブドールと
「このタイプのロボットを10ヶ所程度、配置するので、その水中銃で撃ちなさい」
「水中銃で撃つんですか?」
多魔世は銃を顔の上まで持ち上げ、しげしげと眺め見た。
「精度は落ちるけど陸上でも撃てるのよ」
「はあ……」
「じゃあ、始めるわよ」
七代が隊員に視線で合図をすると、彼等はロボットの背中のボタンを押し下げた。すると、今まで脱力していた四肢に力がみなぎり自立して歩き始めた。
「自分で動けるんですね?」
多魔世は
「そうよ。でも、無抵抗だから心配はいらないわ。物陰から出てきた瞬間に撃ちなさい」
「……はい」
人型ロボットでも怖いのに本物の人を撃つとはどれ程恐ろしい事なのか、多魔世は体の震えを止められなかった。
「まずはマガジンに
七代は弾丸の入った箱を差し出した。
多魔世は渋々、受け取り、蓋を開けた。
「これが弾丸ですか?」
「そうよ」
「何か、長くないですか?」
「水中用の特殊な弾丸だから、一般的なものとは形状が異なるのよ」
多魔世が手にした弾丸は弾頭が釘の様に細く、長さが10センチほどあった。
「銃からマガジンを抜いて、弾丸を装填してちょうだい」
「……はい」
多魔世は言われたとおり、引き金の銃口側にあるマガジンを抜き取り、五寸釘の様な弾丸を装填した。
「次は撃ち方ね」
「……はい」
「基本的には、立ち撃ち、膝撃ち、伏せ撃ちの三つね」
「……はい」
「取り敢えず、今日は膝撃ちでいいわ」
「舌打ち?」
「膝撃ち!」
「……はい」
「利き手はどっち?」
「右です」
「じゃあ、しゃがんで、左膝を立てて」
七代は自らしゃがんで見本を見せた。
「……はい」
多魔世も倣って、横にしゃがんだ。
「銃を構えたら左肘を左膝に乗せて固定して」
「……はい」
多魔世は言われたとおり、七代の真似をした。
「そして、撃って!」
パーン!
多魔世は言われるままに引き金を引いた。
適当に撃ったつもりだったが、30メートル先の無抵抗ロボットの眉間にヒットしていた。
「あなた、筋がいいわね」
七代が初めて微笑んだ。
「……いいえ」
多魔世は望まない結果に吐き気を覚えていた。
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