第2話
「あら、ジョシュ
いつの間に帰ってきたの?」
驚いた顔で部屋に入ってきたのはお父様とお母様だった。
「私は、ジョシュにティアの怪我の件は伝えてない筈なんだがな…」
お兄様の私への溺愛ぶりを知っているお父様は困った様に眉を下げる。
「父上がそうやって隠すので
ティアの動向は逐一僕に入ってくるようにしてるんです!
僕の可愛いティアが怪我したと聞いて学園に留まる訳ないでしょ!?」
「お前は本当に…はぁ…
ティア、怪我は平気か?
怪我した場所が場所だから具合が悪くなったり痛んだらすぐ言いなさい。わかったね?」
「さっきまでは、ズキズキしていましたが
お兄様が来てからはなくなりました。」
心配そうに私を見るお父様にニコっと笑いかけると
ホッとしたのか私の頬を撫でる。
「父上!怪我をさせた者はどうなさったのです!
頭とはいえ可愛いティアに一生残る傷跡を残しておいて…っ!」
そういえば…私何で怪我したんだっけ…
「ティア?実は謝りたいと連日来ているのよ。
ティアさえ良ければ、部屋に連れてくるけれどどうする?」
私の隣に座り穏やかに笑うお母様。
「私は…大丈夫です。」
コクリと頷く
「ジョシュは「僕はティアの側に居ますからね!!」…やっぱりか…
同席はいいが、くれぐれも粗相はするなよ?」
ガルガル威嚇すらお兄様を見て諦めたのか
深くため息をつき部屋から出ていくお父様。
コンコン
お兄様の学園の話を聞いていると扉のノック音が聞こえた。
「どうぞ。」
お父様に連れられて入ってきたのは
あの日見た男の子と騎士。
男の子は金色の髪に深い青色の瞳。
まるで海の底のように深い青。
「この度は、私の不注意で誠に申し訳ありませんでした。」
私に頭を下げる男の子を見て後ろでアワアワする騎士。
「私は、平気なので頭を上げて下さい。
傷跡は残るそうですが、幸いな事に髪の毛で隠れますし気にしないで下さい。」
何か言おうとしていたお兄様の口は私の小さな手で塞いでるので大丈夫!
「ですがっ…っ
スカーレット家が大事にしている御令嬢である貴方に一生残る傷跡をつけてしまいました。
こんな事で償えるとは思ってはいませんが…
ティアナ・スカーレット。
私の婚約者になってくれませんか…?」
私の前に跪き手を差し伸べる男の子。
「お、王子!?」
騎士は男の子に向かって叫んだ
…え?王子?
私が目をぱちくりさせていると
「ふざけるな!ティアに傷をつけた奴にティアはやらん!
例え王子であろうとな!!」
驚きの余り緩んだ私の手を掴み王子に向かって叫ぶ。
王子に向かってこんな口聞いて…大丈夫なのか…?お兄様よ…
「ティア、貴方の好きな様にしなさい。
私達は貴方達には幸せになってもらいたいの。
貴方が結婚する人は、貴方が選ぶのよ?」
貴族であるのに、我がスカーレット家は政略結婚反対派である。
だから、お兄様も婚約者は居らず
縁談がバンバン舞い込んでると聞いた。
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