第一章 モンスターゲート

一 国難のはじまり

 ポンジャ王国――。


 シーア軍務長官が王座の間まで駆け抜け、王族の住居区画へと入っていった。

 そして、王のいる寝室前で叫んだ。

「王様、王様、大変です!」


「なんだ、騒々しい。まあ良い、入れ」

 王が部屋から返事をする。シーア軍務長官は扉を開けて部屋に入った。


 すると、王は寝室で第二王妃から第六王妃までをハーレム状態にしてソファで寛いでいた。第一王妃はシアロ王国へ旅行中でいない。

「どうした。シーアくん?」

 王は第三王妃と第五王妃に挟まれながら、ワインを一口飲んだ。


 ポンジャ王国の王族は一夫多妻制になっており、妾というものは存在しない。

 半裸の王妃たちの姿も、シーアにとっては見慣れたものだった。

「なんと、モンスターゲートが再び開きました」

 シーア軍務長官が膝を突き、かしこまって報告した。


「モンスターゲートが開いたのか……。ふーん、それは大変だ。しかし、わしも今、大変なんだ」

 一瞬目を見開いたものの、すぐにつまらなそうに王は言った。


「ええと、王が今、王妃様たちとお楽しみ中だというのは存じますが……」

 シーア軍務長官は王と王妃たちに視線をやった。


「違う、違う。別にそういう意味じゃない。わしは今、いろいろと悩んでいるのだよ」

 王は溜息を吐いた。


「ああ、王位継承の件ですね」

 シーア軍務長官は納得したように頷いた。


「そうそう。王子たちの件だよ」


「しかし、モンスターゲートが開いたのは国の一大事です。緊急事態です」


「うーん。昔と違って、それなりに兵力は蓄えているではないか。いつも通り、モンスターを駆除すればいいだけだろう。それより、王位継承の件が揉めてて、わしは頭がおっぱい……いや、いっぱいなのだ」

 ポンジャ十世ことベイア王は第五王妃の胸を揉みながら言った。

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