第3話

「えへへ~、真理さ~ん」

「ええい、抱きつくな!」

「相変わらず仲いいよね、真理と恵美って」

「はい!」「どこがよ!」

「ほら、息もぴったし」


 蔵での出来事から数日が経った。

 現在、妖子は真理と共に霊妖神社で寝食を共にしている。

 妖子は、やはり過去の出来事が忘れられないのか、たまに蔵へ行っては、棺の前で泣いていた。

 なぜ棺の前なのか?それは、その棺が"今"には無い、先代との思い出だからだろう。


 それと、こいつは自由に身長を変えられるようだ。

 数日前、小さな姿で妖子に起こされたときは驚いたものだ。


 恵美は、あれから毎日のように、神社に訪れるようになった。

 以前もそうだったが、今では前より抱きつかれる事やキスされることも増えてきた。

 キスと言っても頬にだ。まれに唇にされそうにもなるが、そこは何とか回避している。

 そして、相変わらず『真理の妻』を自称していた。まったく、私のどこがそんなにいいんだか。


 真理は、恵美と妖子の相手をしながら、毎日を騒がしく、だけどのんびりと毎日を過ごしている。

 そして、今日も、多分来ない参拝者を待ち続ける。


「そんで恵美、今日は何の用なのよ?」

「愛しい真理さんと一緒に居たいから来ました!

……だめ、でしたか?」


 恵美は悲しそうに、涙目になり真理を見つめた。

 演技だとわかっていても、これをされたら、真理も恵美をさすがに見放すことはできなかった。


「……はぁ、解ったからその悲しそうな顔をやめなさい」


 そういいつつ、恵美の髪をなでた。

 恵美の髪は、サラサラとしてて、触っていても、気持ちが良かった。

 恵美も気持ちがいいのか、撫でた途端に笑顔になる。


「ん~、ふふ、やっぱり真理さんに撫でられるのが一番落ち着きます」

「……あっそ

 そんで、何で妖子か私を撫でてるわけ?」

「え~、だって真理、撫で心地がいいんだもん

 それに、真理たちが本当に仲良さそうだから」

「別によくないわよ!」


 真理は恵美を撫で、妖子は真理を撫でる、そして真理が溜息を吐く。

 でも、3人とも笑っていて、とても楽しそうな光景だった。

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